睡眠負債ってなに?

巷では最近、睡眠負債という言葉をよく耳にすることが多いように思います。
睡眠負債とは毎日の睡眠不足が借金のように慢性的に積み重なっていき、身体の健康に悪影響を及ぼす可能性のある状態のことです。
わずかな睡眠不足でも毎日少しづつ蓄積していくことによって、仕事や私生活のパフォーマンスが低下し、様々な疾患を引き起こす恐れがあります。
ペンシルベニア大学が行った研究によると、6時間の睡眠を2週間続けたグループの脳の働きが、二晩徹夜したグループの働きと同じ程度低下していたという結果があるようです。
6時間の睡眠時間でも少ないのですね、、、
今回は、この睡眠負債はどのようにして、私たちの身体に蓄積してしくのか、返済するにはどうしたらよいのか、について簡単にご紹介していきたいと思います。
なぜ、睡眠不足は慢性的にたまっていってしまうのでしょうか。
休みの日にいっぱい寝たのに、眠気や疲れが残っている…。
そんな経験をしたことある人も多いはずです。
一時的な睡眠不足なら、翌日たくさん眠ることで解消されるでしょう。
しかし、慢性的な睡眠不足となるとそうはいきません。
日常的に不足している睡眠が、休日の寝だめくらいで補うことはできないのです。
睡眠負債が寝だめしても解消できないワケ
ではどうして、寝だめで日頃の睡眠不足が補えないのか。
そこには体内時計と、睡眠の質が深く関わっています。
人にはすべて体内時計(別名サーカディアンリズムともいいます)があり、その時計のリズムに則って人は生命活動を行い、睡眠や覚醒もそのリズムの中に組み込まれています。
しかしその生命活動のリズムは睡眠不足になったからといって、変わるものではありません。
つまり、脳は「もっと眠りたい」と思っても、体内時計によって一定時間がくれば覚醒モードに切り替わってしまいます。
それでも布団の中に入って眠っていても、多くの場合、その睡眠の質は悪く、ダラダラ寝ていることでかえって疲労がたまったり、体内時計のリズムを崩してしまう原因にもなります。
その結果、休日にいくら寝だめをしても、睡眠負債は完全には返済されず、翌週になっても睡眠不足が続いたまま、職場や学校へ向かうことになるのです。
睡眠負債は「一括払い」より「分割払い」を
寝だめがダメなら、どうすれば睡眠負債が完全に返済されるのか。
それは、「一括払い」ではなく「分割払い」にすること。
休日に一度に不足分を補うのではなく、日頃から少しずつ睡眠を増やして返済していくしかありません。
具体的には、毎日15分、あるいは30分早く寝るようにしましょう。
たとえ15分でも、毎日少しずつ早く寝ることで、それまで負債としてたまっていた不足分の睡眠を補うことができます。
そうすれば、休日に寝だめをして、かえって体内時計のリズムを乱して体調を崩すようなこともなくなるはずです。
「一括払い」するのではなく「分割払い」を意識する。
それだけでも、睡眠負債は効率良く返済されるはずです。
不眠症、睡眠障害になる前に早めの対策を
筋肉痛や体の疲労なら横になるだけでだいぶ解消されますが、脳の疲労は睡眠でしか解消することはできません。
睡眠をしっかりととることで、日中に五感で受信した情報を整理し、翌日にはすっきりとリセットした状態で新しい1日を送れるようになるのです。
睡眠負債が残ったままだと、脳は疲労を残したままリセットされず、やがて不眠症などの睡眠障害を患う恐れがあります。
そして、不眠症はうつになったり、血流が悪くなって心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなってしまいます。
そうなる前に、たまってしまった睡眠負債は日頃から解消するように心掛けることが大切です。
更新日時:2018年10月01日