糖尿病にはさまざまな治療法がありますが、効果的な治療法や治療薬はテレビ番組でも取り上げられています。
本記事では、「ためしてガッテン」で注目された数々の治療法と期待できる効果を詳しく解説します。
自分に合う治療法を見つけたい方、すぐに試せる方法が知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
ためしてガッテンの糖尿病を治す方法
「ためしてガッテン」は、1995年から2022年までNHK総合テレビで放送された生活情報番組です。(2016年から2022年は「ガッテン!」にリニューアル)
健康や食事などの身近な生活について深く掘り下げられ、糖尿病に関する内容も複数回取り上げられました。
実際に放送された内容の中から、糖尿病の改善に効果的な方法をピックアップして紹介します。
インスリン注射
2011年10月5日放送の「糖尿病が完治する!?すい臓を復活させる薬」では、インスリン注射によって2型糖尿病を発症する前の状態に戻れる可能性がある、と紹介されました。
糖尿病になると、すい臓にあるβ細胞が弱ってしまい、やがて糖分がβ細胞に攻撃をしかけてβ細胞を死滅させてしまいます。
免疫細胞の一種
血糖値を一定に保つホルモン「インスリン」を分泌する
特に2型糖尿病は、インスリンを分泌させるβ細胞が糖分に攻撃され、死滅したり機能が低下したりすることが原因で起こります。
β細胞の機能を回復させるとして紹介された薬がインスリン注射です。
ただし、ためしてガッテンのインスリン療法は、従来のインスリン注射とは使用方法が異なります。
ためしてガッテンのインスリン療法
インスリン注射は、本来すい臓の機能低下によりインスリンを産生できなくなった1型糖尿病患者、またはインスリンの効果が弱まったり分泌量が減少した2型糖尿病患者に用いられる治療薬です。
しかし、ためしてガッテン方式のインスリン療法は、β細胞が完全に死滅していない糖尿病の初期患者に早期から投与するという方法です。
初期段階から体内のインスリン分泌に近いペースで注射することで、β細胞を休息させて機能を回復させる目的があります。
番組では、毎食前に1回、夕食前のみ2回の計4回の注射を数週間程度継続することで効果が出たと紹介されていました。
野菜を取り入れた食事
2015年6月10日放送の「食べて糖尿病大改善! 医師も驚がく最新ワザ」では、腸内細菌のバクテロイドを増やせば血糖値が下がる可能性がある、と紹介されました。
腸内細菌の1つ
インスリンの分泌量を増加させ、血糖値を下げる働きがある
食事によってバクテロイドが増殖すれば、糖尿病の改善効果が期待できます。
特におすすめの野菜は次の通りです。
にんじん
ごぼう
じゃがいも
らっきょう
オクラ
アボカド
わかめ
ひじき
海苔 など
バクテロイドを増やすためには食物繊維を多く含む野菜がおすすめですが、栄養バランスの良い食事で腸内環境を整えることも大切です。
かかとの上げ下げ体操
2017年2月15日放送の「脳を活性化!血糖値ダウン!新発見“骨ホルモン”SP」では、オステオカルシンというホルモンによって血糖値が下がる可能性がある、と紹介されました。
骨を形成する「骨芽細胞」によって分泌されるタンパク質
骨ホルモンとも呼ばれる
アメリカ・コロンビア大学で2007年におこなわれた動物実験により、オステオカルシンにはすい臓やインスリンの働きを高める効果があることが明らかになりました。
オステオカルシンの分泌量は、骨のある部分を刺激して骨全体を活性化させることで、増加させることができます。
かかとの上げ下げ体操のやり方
オステオカルシンの分泌量を増加させるためには、「かかとの上げ下げ体操」が効果的です。
①立った状態で、つま先立ちのようにかかとを持ち上げる
②かかとに振動が加わるように、ストンとかかとを落とす
上記を1日30回を目安に、毎日継続しましょう。
骨への刺激は全身の骨に伝達されるため、きちんと骨に振動が加わるように落とすのがポイントです。
番組ではこの体操を1週間継続した結果、調査に参加した6名のうち5名のオステオカルシンの値が上昇しています。
睡眠薬
2017年2月22日放送の「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」では、睡眠障害の方にオレキシン受容体拮抗薬という睡眠薬を使うと血糖値も改善された、というデータが報告されました。
大阪市立大学医学部附属病院の研究により発見された糖尿病の治療法で、「睡眠中に出る脳波のデルタパワーが増加すると血糖値が下がる」という仕組みを応用した方法です。
深い睡眠時に放出されるゆっくりした脳波
血糖値と睡眠は深く関係しており、以下のように相互に影響し合います。
・睡眠不足→ストレスホルモン増加→血糖値上昇
また、交感神経が活発になるとデルタパワーが低下することもわかっています。
デルタパワーは熟睡している時に出やすいため、オレキシン受容体拮抗薬という睡眠薬によって睡眠障害を改善させることで、血糖値を低下させる効果が期待できます。
睡眠障害がない方は使用できない
実際に大学でおこなわれた研究では、オレキシン受容体拮抗薬により17名中14名の血糖値が低下しました。
しかし、日本睡眠学会は番組の放送を受け、次のように指摘しています。
番組で取り上げられた睡眠薬については国で承認された効能又は効果は「不眠症」に限定されており、糖尿病に対して処方することは認められていません。
引用:平成29年2月22日(水)に放映されたNHK番組「ガッテン!」の内容に関する一般社団法人日本睡眠学会としての見解
オレキシン受容体拮抗薬は不眠症の治療薬であり、糖尿病の治療薬ではありません。
糖尿病と睡眠障害を併発している方には効果が期待できますが、睡眠障害がない方はむやみに使用しないよう注意が必要です。
スクワット
2018年10月3日放送の「血糖値がみるみる下がる!謎のポーズで体質改善SP」では、血糖値を下げるピントレが紹介されました。
筋肉は主に以下の2つから構成されていますが、デンマーク・コペンハーゲン大学がおこなった生検により、スロースクワットと同様の運動をした人の筋肉に第3の筋肉が発見されました。
- 赤筋(遅筋)
- 白筋(速筋)
白筋にミトコンドリアが増加すると桃色に見えることから、「ピンク筋肉」と呼ばれています。
ミトコンドリアには糖や脂肪を消費しやすくする特徴があり、ピンク筋肉の増量で血糖値を下げる効果が期待できます。
次項で、このピンク筋肉を増量するトレーニング法(ピントレ)をご紹介します。
ピントレの方法
ピントレは気温や季節に関わらず実践でき、特別な道具や費用も必要ありません。
尚、身体に負担がかかるため、高血圧の方や膝が悪い方は医師に相談してからおこないましょう。
①つま先と膝を同じ方向に向け、肩幅より広めに足を開く
②両腕を伸ばして手を前に出す
③つま先より前に膝が出ないように意識し、呼吸しながら膝が90度くらいになるまで腰を落とす
④90度くらいで一度停止し、声を出して回数を数える
⑤ゆっくりと元の姿勢に戻る
上記10回を1セットとし、1日3セット、計30回を目安におこないましょう。
また、運動に不慣れな方や高齢者の方は、転倒防止で後方にイスを置き、前方のイスやテーブルを支えにして実践してみてください。
1ヶ月ほどで効果を実感できるようになりますが、まずは3ヶ月間の継続を目指しましょう。
薬やサプリの併用もおすすめ
ためしてガッテンで紹介された治療法や運動法をご紹介してきました。
血糖値のコントロールには、食事や運動などの生活習慣の見直しが不可欠です。
しかし、ヘモグロビンA1cが8.0%以上の高血糖の場合は、薬で数値を安定させることも大切です。
また、副作用が少ないサプリメントにも、血糖値を下げる効果が期待できます。
血糖値が高い方は、次にご紹介する医薬品やサプリメントの使用を検討してみてください。
血糖降下薬
糖尿病の治療薬にはビグアナイド薬、SGLT2阻害薬、DDP-4阻害薬などのさまざまな種類があります。
病状や体型によって適した薬が異なるため、薬の特徴をきちんと理解した上で選ぶことが大切です。
また、糖尿病の治療薬は原則、病院で処方してもらう必要があります。
しかし、海外通販では処方せんが無くても購入できるため、通院が難しい場合は利用してみてください。
商品名 | フォシーガ | メトホルミンタブレット | ジャヌビア |
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価格 | 28錠:6,300円~ | 28錠:2,800円~ | 28錠:6,500円~ |
主成分 | ダパグリフロジン (SGLT2阻害薬) |
メトホルミン (ビグアナイド薬) |
シタグリプチン (DDP-4阻害薬) |
特徴 | 腎臓から吸収される糖の量を減らす 低血糖を起こすリスクが低い |
BMI25以上肥満の方に向いている 病院でもよく処方されている |
ゆるやかに作用し低血糖を起こしにくい 他の糖尿病薬と併用も可能 |
ボタン |
血糖値を抑えるサプリ
医薬品は効果が高い一方、副作用のリスクがあります。
副作用が心配な方や薬だけに頼りたくない方は、副作用が少ないサプリメントがおすすめです。
血糖値を抑える効果が期待できる天然成分は、ギムネマ、にがうり、NMN、サラシアなど複数種類あります。
商品名 | ダイアベーコン | ツルレイシ | NMN |
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価格 | 60錠:1,350円~ | 180錠:2,250円~ | 30錠:3,900円~ |
主成分 | ギムネマ・インディアンキノツリー・ターメリックなど | にがうり果汁・マルチトール・澱粉分解物など | ニコチンアミドモノクレオチド |
特徴 | ギムネマが血糖値を下げて体内のインスリンを増加 | にがうりが糖質や脂肪の吸収を抑える | 加齢による老化防止にも有効 |
ボタン |
ただし、医薬品と比較すると効果がマイルドなため、治療ではなく予防目的または悪化を防ぐ目的での使用をおすすめします。
糖尿病は完治する?
現状、糖尿病は完治しない病気とされています。
しかし、症状が抑えられて安定した状態(寛解)を目指すことは可能です。
糖尿病は、すい臓にあるβ細胞が破壊され、インスリンが正常に分泌されなくなる病気です。
一度死滅した細胞の復活は難しく、慢性的に高血糖状態になると、さまざまな合併症を引き起こす恐れがあります。
また、生活習慣の見直しや医薬品により、一時的に数値が正常まで改善することはありますが、元の生活に戻れば再び血糖値が上昇してしまいます。
運動や食生活で生活習慣を改善し、自分で血糖値をコントロールする意識が大切です。
自力で対処できない部分は治療薬や治療法などの医学の力を活用し、糖尿病の寛解を目指しましょう。
薬を飲み始めたらやめられない?
医薬品を服用する場合、一度飲み始めたら一生やめられないとは限りません。
初期段階の糖尿病であれば、薬によって一時的にすい臓を休ませることで機能が回復する可能性があります。
また、生活習慣の改善も並行しておこなえば、薬の量を減らすことも可能です。
ただし、症状によっては薬を飲み続けなければならない場合もあるため、医師と相談してみてください。
まとめ
糖尿病は、食事や運動などの生活習慣の改善で症状を安定させることができます。
しかし、元通りの生活に戻れば再び血糖値が上昇する恐れがあるため、意識的に生活習慣の改善に取り組むことが大切です。
本記事でご紹介した「かかとの上げ下げ体操」や「ピントレ」は特別な道具が無くても始められるため、ぜひ実践してみてください。
また、必要に応じて医薬品やサプリメントも活用し、糖尿病と前向きに向き合いましょう。