不眠には入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒があり、これらは人生で一度は経験するとされています。
長期的な不眠は、集中力の低下や気分の落ち込み、免疫力の低下など、日常生活や健康にさまざまな問題を引き起こす可能性があるため、早めの改善が必要です。
そこで本記事では、不眠で悩んでいる方に向けて、不眠の改善方法やおすすめの対策方法を紹介しています。
生活環境や就寝環境の改善、さらには睡眠に特化したサプリメントや医薬品などについても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
不眠の要因とは
不眠の要因のひとつに、自律神経の乱れが挙げられます。
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスで成り立っており、ストレスや不安、過労などによって乱れやすくなります。
交感神経が過度に活発になり、副交感神経がうまく働かなくなることで、夜になっても体がリラックスできず、眠りにつきにくくなるのです。
以下の項目では、自律神経の整え方や不眠におすすめの改善方法を紹介していきます。
不眠におすすめの生活習慣
以下では、不眠を解消するために意識すべき生活習慣を紹介します。
始めやすいことばかりなので、ぜひ今日から取り入れてみてください。
毎日一定の時間に起きる
毎日同じ時間に起きることで、体内時計が安定し、自然な睡眠リズムが整いやすくなります。
休日の寝だめは、起床時間が不規則になり、体内時計を混乱させることで睡眠の質を低下させる恐れがあります。
このため、できるだけ毎日同じ時間に起きるように心がけましょう。
睡眠リズムを整えることで、夜には自然な眠気が生まれ、朝の目覚めもスムーズになります。
起きたら太陽の光を浴びる
起床後は、太陽の光を浴びることから始めましょう。
太陽の光は生体リズムを調整する作用があるため、朝に浴びることで活動的になり、夜には自然とメラトニンが分泌されて眠気を感じやすくなるのです。
朝、太陽の光を十分に浴びることで、その後14〜16時間で再び眠気がやってくるという身体のメカニズムも知られています。
朝にタンパク質を摂る
タンパク質にはトリプトファンというアミノ酸が含まれており、これにはセロトニンやメラトニンの生成をサポートする作用があります。
セロトニンは日中の活動を活発にし、メラトニンは睡眠の質を向上させるホルモンです。
タンパク質は身体の修復や成長に必要な栄養素であり、朝食に摂取することで血糖値を安定させ、エネルギーを持続させる作用もあります。
適度な運動をする
適度な運動は身体をほどよく疲労させ、リラックス効果やストレス解消効果も伴うため、より良い睡眠を促進します。
ただし、就寝の直前に激しい運動をおこなうと、身体が興奮しすぎて眠りにくくなることがあるため、注意が必要です。
一般的には、就寝の2時間前までの時間帯に、軽い全身運動をすることが望ましいとされています。
入眠の1時間前までにぬるま湯で入浴する
入浴は、体温を上昇させ、そのあと急激に体温が下がることで眠気を誘う効果があります。
とくに、ぬるま湯の入浴はリラックス効果が高いため、お湯の温度を38〜40℃に設定し、15〜20分程度ゆっくりと浸かりましょう。
入浴後は、皮膚から熱が放散されて身体の内部の温度が自然に下がることで、心地よく眠りに落ちることができます。
寝る直前にノンカフェインのハーブティーを飲む
カモミールやラベンダーなどのハーブティーには、天然のリラックス効果があります。
これらのハーブに含まれる成分は、神経を落ち着かせ、心身の緊張を和らげる働きがあるのです。
とくに、就寝前に飲むことで、日中の疲れやストレスを解消し安眠を促します。
カフェインの摂取は眠気を妨げるため、就寝前は必ずノンカフェインを選ぶようにしてください。
不眠の場合にしてはいけない生活習慣
以下では、不眠の要因となる生活習慣を紹介します。
これらの習慣が身についている方は、早めに見直しをおこないましょう。
長時間の昼寝
長い昼寝をすると、夜の就寝時刻が乱れる可能性があります。
これにより睡眠の質が低下し、朝起きたときには疲れが残ることがあるのです。
昼寝が必要な場合でも、短い時間で済ませるように心がけましょう。
20〜30分程度の昼寝は、疲れを取りながらも夜の睡眠には影響しにくいため、日中のリフレッシュ効果を得ることができます。
寝る直前の食事
寝る前の食事や、胃もたれを引き起こす食べ物の摂取は、睡眠に影響を与える可能性があります。
高脂肪や高カロリー、辛い食べ物などは、消化のためにエネルギーや時間が使われるため、リラックス状態になりにくく、心地よい睡眠が難しくなるのです。
このため、就寝前の食事は軽めにし、野菜やタンパク質が豊富に含まれる食事など、消化の良いものを選ぶことが重要です。
寝る直前の入浴
寝る直前の入浴は、体温を上昇させるため、目覚めを促す可能性があります。
入浴は、体温が上昇し、そのあとの急激な体温の低下により眠気を誘う効果があります。
ただし、入浴後に体温が下がるまでには時間がかかるため、すぐに寝た場合は寝つきが悪くなる可能性があるのです。
寝る直前の入浴は避け、入浴は就寝の1〜2時間前には終えるようにしましょう。
寝る直前にアルコールやカフェインを摂取する
寝る直前にアルコールやカフェインを摂取すると、睡眠の質が低下する可能性があります。
アルコールは眠気を誘発する作用がありますが、眠りが浅くなり、夜中に目が覚めやすくなることもあります。
また、カフェインは覚醒作用があるため、寝る直前に摂取することで寝つきが悪くなる可能性があるのです。
睡眠前の飲み物は、水またはノンカフェインのハーブティーなどが望ましいです。
寝る直前にテレビやスマホを見る
テレビやスマートフォンから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、眠りを妨げることが知られています。
メラトニンは睡眠を誘導するホルモンであり、ブルーライトの影響を受けるとその分泌が抑制されるため、眠りを妨げる可能性があるのです。
寝る直前はデジタルデバイスを使う時間を減らし、リラックスすることを心掛けましょう。
不眠におすすめの音楽
自然音やクラシック音楽は、不眠症の症状を和らげるのに効果的です。
リラックスした音楽や自然の音は、脳波をアルファ波やシータ波に変化させることがあります。
これらの波形はリラックス気分を促進するとされ、眠りに適した状態を作り出すのです。
また、穏やかな音楽は副交感神経を活性化し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制することでも知られています。
不眠におすすめの音楽は数多く配信されているため、眠れない際は取り入れてみるのも良いでしょう。
不眠におすすめのストレッチ
就寝前に軽いストレッチをおこなうことで、筋肉の緊張を解き、リラックス状態に移行しやすくなります。
ただし、激しい運動やストレッチは逆効果になる場合があるため、就寝前には穏やかで軽いストレッチを心掛けてください。
①四つん這いになって両ヒジを合わせて床につける
②胸を床に近づけて、脇腹脇の下辺りを両方同時に伸ばして30秒キープ
<ふくらはぎのストレッチ>
①片方のお膝の上に反対のふくらはぎを乗せる
②前後、左右に30秒動かしてふくらはぎをほぐす
不眠におすすめの就寝環境
睡眠の質を改善するためには、就寝環境も非常に重要です。
以下の項目では、おすすめの就寝環境の整え方をいくつか挙げていきます。
室温・湿度と不眠の関係
快適な睡眠には、適切な室温や湿度を保つことが重要です。
冬の場合、室温は15度以上、夏の場合は25度以下が推奨されています。
また、湿度に関しては、一般的に50%〜60%の範囲が快適であるとされています。
湿度が低すぎる場合は、口やのどが乾燥しやすくなり、睡眠の質が低下することがあるため注意しましょう。
快適さには個人差が伴いますが、睡眠中に身体が寒さや暑さを感じないような調整をおこなうことが重要です。
光と不眠の関係
光は睡眠を妨げる可能性があるため、外の光が漏れる場合は遮光カーテンの使用がおすすめです。
夜は外部からの光を遮ることで深い眠りに入りやすくなり、さらに朝日を遮断することで早朝の目覚めを妨げることもできます。
また、スマートフォンやパソコンなどから発せられるブルーライトは、体内時計が狂い、睡眠のリズムを乱す可能性があります。
このため、就寝前はなるべくスマホの使用を制限し、ブルーライトを避けることも重要です。
騒音と不眠の関係
周囲の小さな物音や、車や虫の音、犬の鳴き声なども睡眠を妨げることがあります。
これらの音に敏感になると、入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などを引き起こすリスクが高まります。
そんな方は、耳栓やノイズキャンセリングイヤホンを使用することで、不快な音を遮断し、静かな環境を作り出すことができます。
睡眠に特化した耳栓もいくつか販売されているので、これらを活用して快適な環境を整えましょう。
寝具と不眠の関係
寝具は睡眠の質に大きく影響し、不眠症の原因となる場合もあります。
枕の高さが合わずに首や肩に無理をかけている場合は、起床時の疲労感にもつながります。
枕が自分に適した高さであることを念入りに確認しましょう。
また、マットレスは硬すぎず柔らかすぎずのものを選び、体圧を分散するものを使用することで快適に眠ることができます。
さらに、保温性や吸湿性に重視した掛け布団を選ぶことで、体温や汗の調節ができ、快適な睡眠環境を整えることができます。
不眠におすすめのサプリ・漢方
睡眠サプリメントは、ストレスの軽減やリラックス効果に期待され、これにより不眠の改善をサポートします。
一部の睡眠サプリメントには、睡眠を誘導するハーブや、睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンが含まれており、自然に近い眠りをサポートするとされています。
生活習慣の改善だけでは解消されなかった方は、サプリメントの摂取を検討すると良いでしょう。
不眠におすすめの睡眠薬
生活習慣の改善や睡眠サプリメントの効果が不十分な場合、睡眠薬の利用も選択肢のひとつです。
睡眠薬は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害など、不眠症の悩みに応じて選ぶことができます。
これらは睡眠をサポートするサプリメントとは異なり、不眠の改善が期待できるのです。
まとめ
不眠は、精神的なストレスや苦痛、過労などにより自律神経が乱れることで生じやすいとされています。
不眠が長期間続くと、日常生活や健康面においてさまざまな問題を引き起こす可能性があるため、生活環境や睡眠環境を早めに整えることが重要です。
また、これらの改善と共に、睡眠をサポートするサプリメントの摂取を検討するのも良いでしょう。
それでも効果を感じなかった場合は、不眠を改善する医薬品の使用も選択肢のひとつです。
不眠は日常生活に深刻な支障を与えることがあるため、早めに改善しましょう。