睡眠薬のハルシオンは病院で処方してもらう以外、現状では購入する方法がありません。
この記事ではなぜ市販や個人輸入ではハルシオンが販売できないのか、その理由や代用品の有無についてまとめていきます。
ハルシオンが市販で入手できない理由
医薬品には、医師が診断した上で処方する医療用医薬品、処方箋が無くても購入できる一般用医薬品の2種類があります。
ハルシオンは医療用医薬品に分類され、購入するためには医師が発行した処方箋が必要です。
そのため市販は認められておらず、ドラッグストアなどでは購入できません。
またハルシオンは、医療用医薬品の中でも向精神薬という種類になります。
向精神薬は輸入が禁じられ、ハルシオンは個人輸入での販売も認められていません。
ハルシオンの代用品は市販で買える?
ハルシオンの代用品となる睡眠薬は、市販では購入できません。
病院で処方される睡眠導入剤とは異なり、市販で販売されているのは睡眠改善薬という種類です。
抗アレルギー薬の副作用による眠気を利用した医薬品のため、ハルシオンなどと比べると睡眠作用はマイルドになっています。
どうしても市販薬で対処したいという方は、以下で紹介する睡眠改善薬がおすすめです。
商品名 | リポスミン | ドリエル | ネオデイ |
---|---|---|---|
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おすすめ | 睡眠導入剤を試してみたい方向け | 一時的な不眠症状に使われる、睡眠改善薬の定番。 | 小さめの錠剤で飲みやすい睡眠改善薬。 |
メーカー | 皇漢堂製薬 | エスエス製薬 | 大正製薬 |
分類 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 |
有効成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
価格 | 12錠:2,090円 | 12錠:1,900円 | 12錠:1,760円 |
ボタン |
※価格は、希望小売価格を参考にしています。
通販できるハルシオンの代用品
ハルシオンの代用品は、海外通販(個人輸入)であれば購入することができます。
代用品として特におすすめなのは、「デエビゴ」です。
2020年に登場した比較的新しい睡眠薬となり、比較研究において優れた睡眠作用が明らかにされています。
▼比較研究結果▼
デエビゴ | ハルシオン | |
---|---|---|
寝付くまでの時間 | -18分36秒 | +4分30秒 |
ハルシオンは、脳の機能を低下させて眠気を促すため、急激に眠くなります。
そのため、体感はハルシオンの方が早く効果が出ているように感じますが、実際はデエビゴの方が早く効果が出ていることがわかります。
またデエビゴは、ハルシオンとは違い、ホルモンに作用して自然な眠りを促す睡眠薬のため、健忘や依存性の心配が少ないことからハルシオンよりも安全であるとされています。
口コミ:★4.08(13件) 価格:28錠15,800円~ |
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特徴 | 第1類医薬品 |
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成分 | レンボレキサント |
血中濃度到達時間 | 1時間30分 |
作用時間 | 3~4時間 |
デエビゴは、オレキシン受容体拮抗薬という種類の睡眠薬です。
依存も生じにくいため、長期的な服用に向いていることや、入眠障害以外にも効果があるという点がメリットです。
その他、ハルシオンと同程度の作用時間を持つ睡眠薬もあります。
商品名 | ハイプロン | ソクナイト |
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おすすめ | 依存性が少なく安全に使える 副作用が少ない睡眠薬が欲しい方におすすめ |
依存性が少ない超短時間型 ルネスタのジェネリック |
成分 | ザレプロン | エスゾピクロン |
血中濃度到達時間 | 30分~1時間 | 30分 |
作用時間 | 5時間 | 5~6時間 |
口コミ | ★4.31(333件) | ★4.12(249件) |
価格 | 100錠:4,593円~ | 50錠:4,050円~ |
ボタン |
これらの睡眠薬は非ベンゾジアゼピン系と呼ばれる種類となり、睡眠作用のメカニズムはハルシオンと同様です。
また血中濃度到達時間、つまり効果が現れるまでの時間もハルシオンとほとんど変わらないので、同じような感覚で使用できる睡眠薬をお探しの方には上記の商品をおすすめします。
※参考
・レンボレキサントと他の不眠症治療薬の有効性の比較|ネットワークメタアナリシス
・デエビゴ錠2.5mg他_エーザイ株式会社_審査報告書|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
・DRUG: ザレプロン|kegg
・医療用医薬品 : ルネスタ|kegg
ハルシオンについて
ハルシオンは、ベンゾジアゼピン系という種類の睡眠薬です。
1983年に登場し、有効成分としてトリアゾラムを配合しています。
睡眠薬としての特徴は、超短時間型の作用にあります。
飲んでから効果が出るまでが早く、作用時間が短いため翌日に眠気を持ち越すことが少ない睡眠薬です。
また入眠作用が強いため、ハルシオンは寝つきが悪い入眠障害の改善に使われます。
ハルシオンの臨床試験
ハルシオンは、健康な成人男性32人に対して、効果が現れる時間と効果が半減する時間についての臨床試験が行われました。
結果は、以下の通りです。
最高血中濃度到達時間 | 半減期 | |
---|---|---|
時間 | 1時間12分 | 2時間54分 |
ハルシオンは、服用後30分ほどで効果が表れ、1時間後には眠りにつくことができます。
また、効果が半減する時間も約3時間と短いため、次の日に残りにくいことも臨床試験で明らかにされています。
その他に、マイスリーの臨床試験において、ハルシオンとの比較試験も行われました。
顕著な改善 | 中等度の改善 | 軽度の改善 | 変化なし | 悪化 | |
---|---|---|---|---|---|
ハルシオン | 20人(29.4%) | 31人(45.6%) | 8人(11.8%) | 6人(8.8%) | 1人(1.5%) |
マイスリー | 13人(20.6%) | 27人(42.9%) | 15人(23.8%) | 5人(7.9%) | 1人(1.6%) |
この結果から、ハルシオンの方が効果が高いことがわかります。
また、安全性についても臨床試験が行われました。
安全性についての臨床試験の結果については、こちらでご紹介しております。
※参考
・医療用医薬品 : ハルシオン|kegg
・睡眠薬酒石酸ゾルピデム(マイスリー錠)の薬理学的特性と臨床効果|新薬紹介総説
ベンゾジアゼピン系について
ベンゾジアゼピン系とは睡眠薬の分類の1つであり、特に使用頻度の高い系統です。
脳の機能を抑えることで、高い睡眠効果を発揮します。
また睡眠薬として使用されることも多い、デパスなどの抗不安薬も同じベンゾジアゼピン系に分類されます。
▼作用機序▼
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、GABAという神経伝達物質の働きを高めることで睡眠作用を発揮します。
GABAは脳をリラックスさせる効果のある物質であり、近年ではチョコレートなどの食品にも使用されています。
そこでハルシオンなどのベンゾジアゼピン系睡眠薬は、服用するとGABA-A受容体という部位に作用します。
これによりGABAによるリラックス効果が強まり、脳の機能が抑えられることで催眠作用が発揮されるのです。
▼依存性について▼
睡眠薬は長期的に服用していると、依存性を生じることがあります。
体が慣れることで睡眠薬なしでは眠れなくなってしまい、服用をやめられなくなってしまうのです。
ハルシオンは効果が実感しやすい一方、依存性を形成しやすいという側面もあります。
漫然と服用せず、少量ずつ使用する、生活習慣を改善するなどの依存性対策も行いましょう。
ハルシオンの副作用
ハルシオンは安全性に優れる睡眠薬であり、服用方法を守っている限りは重大な副作用が起こることはありません。
ただし注意したいのは、健忘の副作用です。
急激に脳の機能が低下することで、服用後の行動に関する記憶が失われることがあります。
またその他、ハルシオンの承認時に実施された調査では以下のような副作用頻度が明らかにされています。
副作用の頻度 | 主な副作用 |
---|---|
10%~15% | 眠気、倦怠感 |
5%~10% | ふらつき、頭重 |
1%~5% | 頭痛、めまい、協調運動失調 |
1%未満 | 耳鳴り、口の渇き、腹痛、動悸 など |
頻度不明 | 不安、意識混濁、便秘、多幸症 など |
ハルシオンのジェネリック医薬品
ハルシオンには、さまざまなメーカーからジェネリック医薬品も登場しています。
先発薬とジェネリック医薬品の値段の違いは、以下の通りです。
■ジェネリック薬:0.25㎎1錠5.9円
1錠あたりの値段を比較すると、ジェネリック医薬品は安価に購入することが可能です。
費用を抑えてハルシオンを購入したい方は、医師に相談してジェネリック医薬品を選ぶことをおすすめします。
よくある質問
ハルシオンに関して、よくある質問をまとめました。
疑問やお悩みなどがある方は、以下の質問と回答も参考にしてみてください。
ハルシオンを処方してもらうには?
ハルシオンを処方してもらうには、病院を受診し、医師による診察を受ける必要があります。
また近年では、オンライン診療が主流となっています。
しかし病院によってはオンライン診療の初診ではハルシオンを処方してもらうことができない場合もあることに注意が必要です。
ハルシオン販売中止の理由は?
ハルシオンは2006年12月25日、体内における溶け方を調べるための試験(溶出試験)において問題が発生し、メーカーによる自主回収がおこなわれたことがあります。
また依存性が生じやすい睡眠薬であり、薬物乱用を懸念しハルシオンを処方する病院が少なくなっていることも現状です。
現在ではハルシオンは入手しにくい睡眠薬ですが、処方している病院も少なからず存在しています。
まとめ
ハルシオンは向精神薬であり、依存性が起こりやすいため薬物乱用の観点から、入手が難しくなっている睡眠薬です。
そのため病院を受診しても、ハルシオンを取り扱っておらず処方を受けることができないこともあります。
睡眠薬をお探しの方は病院だけではなく海外通販(個人輸入)を利用し、ハルシオンの代わりとなる睡眠薬を購入することがおすすめです。