気温の変化などに関係なく足の裏に異常な汗をかく場合、「足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)」の可能性があります。
足蹠多汗症とは、汗腺が過剰に働くことで足の裏に異常な汗をかく症状です。
酷い場合は靴下がびしょびしょになるほどの汗をかきます。
理由なく足の裏に異常な量の汗をかく原因には、どんなものがあるのでしょうか。
年齢やホルモンバランス、精神面などさまざまなことが考えられますが、おもな原因としては自律神経が関係している可能性が高いです。
本記事では自律神経が私たちの体でどのような役割があり影響を与えているのか、足の裏の汗との関係性についてまとめました。
足の裏の汗と自律神経の関係
汗は通常、温度調整のためにかくものです。
しかし体が熱いわけでもないのに足の裏や手に汗をかくことがあります。
この原因は明確に判明していませんが、ストレスなどにより自律神経のバランスが乱れることで起こっていると考えられています。
自律神経とは、興奮や緊張を高める交感神経と、反対にリラックスさせる副交感神経がバランスを保つことで、血圧や心臓、発汗など体のさまざまな働きを調節する機能です。
精神的な不安や緊張といった強いストレスがかかり自律神経が乱れると、汗をかくタイミングや量を調整できず、多汗などの症状が現れることがあります。
自律神経失調症の特徴
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れることで心身にさまざまな不調があらわれる症状です。
特徴としては、理由なく汗をかく、異常な量の汗を足の裏や手のひらにかくといった症状がみられます。
これら症状は、自律神経失調症のサインである可能性が高いです。
またその場合、制汗剤で汗を抑えることはできないため、医師に相談することをおすすめします。
内服薬による治療
足の裏や手のひらにかく異常な汗の原因が自律神経の場合、制汗剤などを使用してもあまり意味がありません。
制汗剤などで一時的に症状を抑えられたとしても根本的に治したことにはならず、治療する方法は原因である自律神経を整えることです。
自律神経を整える内服薬を服用することで、治療していく必要があります。
自律神経が原因の足蹠多汗症の場合、以下内服薬で治療を行います。
グランダキシン(トフィソパム)
自律神経が原因の場合、「グランダキシン(トフィソパム)」という薬で治療していきます。
グランダキシンとは、有効成分トフィソパムが視床下部に作用し、自律神経のバランスを整えることで自律神経失調症を改善する薬です。
多汗症の原因は自律神経の乱れによって交感神経が優位に働いてしまっていることが影響している可能性があります。
その場合、自律神経を整えるグランダキシンが効果的です。
グランダキシン・ジェネリック 50mg50錠:2,600円 |
||
トフィソパム 50mg200錠:8,550円 |
パキシル(パロキセチン)
自律神経が原因の場合、グランダキシンのほかに「パキシル(パロキセチン)」という薬も効果的です。
多汗症の原因のひとつに自律神経の乱れによって交感神経が優位に働いてしまっていることが挙げられます。
パキシルとは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの働きを高めることで、緊張や不安、気分の落ち込みを和らげる薬で、自律神経が原因の多汗症にも効果的です。
パキシル(先発薬) 20mg28錠:4,500円 |
||
パキシル・ジェネリック 20mg30錠:2,700円 |
自律神経の整え方
自律神経を整える方法は日常生活の中にもあります。
なかでもすぐにできる簡単な方法は下記の3つです。
- 朝のひかりをあびる
- 朝食を摂る
- 深呼吸をする
自律神経を整えるためには生活リズムがとても重要です。
毎朝決まった時間に起床し食事を摂ることで、交感神経と副交感神経がスムーズに切り替わり、自律神経のリズムを整えることができます。
また深呼吸は、息を吸うときの何倍もの時間をかけて吐くことで副交感神経を優位に整えます。
足の裏の汗で悩んでいる人は2.8%もいる
発症箇所 | 有病率 | 発症年齢 |
---|---|---|
手掌 | 5.33% | 13.8 歳 |
足底 | 2.79% | 15.9 歳 |
腋窩 | 5.75% | 19.5 歳 |
頭部 | 4.7% | 21.2 歳 |
参照:原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版|日本皮膚科学会ガイドライン
日本皮膚科学会のガイドラインによると、足蹠多汗症で悩んでいる人は約2.8%もいると報告しています。
しかし足蹠多汗症を含めて多汗症の患者の中では6.3%しか受診しておらず、制汗作用のないデオドラント剤を使用している人は、 47.8%にも及ぶそうです。
足蹠多汗症によって起こる弊害
異常な量の足の汗をかくことによって起こる弊害は下記の通りです。
・足が濡れているため靴を脱げない
・友達の家にあがれない
・滑る
・雑菌が繁殖し臭う
・恥ずかしい
足に多量の汗をかくことで不快に感じることはもちろん、靴を脱いだ時に足が濡れていては友達の家にあがることもためらってしまいます。
また濡れた状態は臭いの原因となる雑菌が増殖しやすい環境です。
さらに、放置した場合は水虫や細菌感染、爪白癬などになる可能性もあります。
足蹠多汗症チェック
自覚症状があってもいきなり病院にかかることは抵抗があるという方も多いでしょう。
そこで、足蹠多汗症かもしれないと思ったら、まずは簡単セルフチェックです。
チェックシートを使って自分自身で確認をしてみましょう。
多汗症治療ガイドラインによると、以下6症状のうち2項目が当てはまれば多汗症に該当するとされています。
1)最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
2)対称性に発汗がみられること
3)睡眠中は発汗が止まっていること
4)1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
5)家族歴がみられること
6)それらによって日常生活に支障をきたすこと
治療法
自律神経を整える治療薬はご紹介しましたが、汗を直接抑える治療法で、手術以外は下記の4つです。
第一選択薬として使われている薬は汗の出口に蓋をする「塩化アルミニウム外用薬(健康保険適用外)」と交感神経に作用し発汗を抑える「抗コリン外用薬(保険適用)」です。
・内服薬
抗コリン薬の内服薬はプロバンサインです。
外用薬では効果を感じられなかった場合や症状が重い場合に使用を検討します。
・イオントフォレーシス
足を水道水に浸し微弱電量を流すことで、水素イオンの力により発汗を抑えます。
・ボトックス注射
足底にボトックス注射をすることで汗の原因となるエクリン汗腺を麻痺させ汗を抑制します。
海外通販で買える足蹠多汗症の治療薬
足蹠多汗症は症状を自覚していても、恥ずかしいなどといった精神的な理由から病院を受診しない人が多いです。
しかし病院へ行くのは抵抗があるという人でも通販ならひと目を気にせず自宅に居ながら気軽に治療薬を購入できます。
塩化アルミニウム外用薬(パースピレックス)、プロバンサインは個人輸入で海外から購入可能です。
どちらも多汗症治療薬として、日本の皮膚科や美容クリニックでも処方されています。
商品名 | パースピレックスローション | プロバンサイン | プロスパス |
---|---|---|---|
画像 | |||
価格 | 1本:3,150円 2本:5,980円 |
100錠:5,700円 200錠:10,800円 |
100錠:5,500円 200錠:8,900円 |
特徴 | 塩化アルミニウム25% ローションタイプ |
有効成分プロパンテリン配合、内服タイプの多汗症治療薬 | 有効成分プロパンテリン配合、内服タイプの多汗症治療薬 |
商品詳細 |
日常でできる対処法
足蹠多汗症は治療が必要です。
しかし治療とまではいかずとも、不快感や臭いを改善する方法はあります。
日常でできる対処法は下記の通りです。
・足用の制汗剤を使う
・靴下をこまめに替える
・通気性の良い靴を履く
・足の角質ケア用品や足の臭いケア専用の石鹸を使う
まずは足を清潔に保ち、なるべく乾燥させることです。
靴下の替えをいくつか持っておいて汗をかいたら履き替えられるようにし、通気性の良い靴を選ぶようにします。
また足用の制汗剤や足用の石鹸、角質ケアグッズなども効果的です。
異常な汗は病気のサイン
足の多汗症は臭いや不快感だけでなく、放置すると細菌感染症などに繋がる恐れもあります。
また暑さに関係なくかく大量の異常な汗は、足に関わらず隠れた病気のサインである可能性が高いです。
その場合、症状や原因に合った適切な治療が必要となることがあります。
改善のためにまずは日常でできることから始め、不安な場合は医師に相談して下さい。