抗生物質は細菌を殺菌するための医薬品で、内服薬や外用薬などさまざまな種類があります。
効果が強い反面、身体に害のない細菌まで殺菌してしまう場合があるため、副作用に注意が必要です。
本記事では、抗生物質の種類ごとの特徴や副作用をご紹介します。効果と副作用の両面を理解して、安全に使用しましょう。
抗生物質の副作用(内服薬)
内服薬の抗生物質でよく確認されている副作用は以下の通りです。
疲労感、倦怠感
貧血
湿疹
カンジダ膣炎(女性) など
↑抗生物質の副作用で出た湿疹。薬疹とも呼ぶ。
これらの症状はどの抗生物質でも起こり得る代表的な副作用で、アレルギー反応や、胃腸や血液、皮膚などに存在する正常な細菌を殺菌しすぎてしまうことで起こります。
内服薬として用いられる各抗生物質の特徴や副作用、処方される主な症状をご紹介します。
※抗生物質の中でも処方が多い種類を抜粋しています。
ケフレックス(一般名:セファレキシン)
ケフレックスの有効成分はセファレキシンで、セファム系に分類されている抗生物質です。
細胞が生きていくために必要な細胞壁を壊して細菌を減らす作用があります。
成人では、1回250~500mgを6時間おきに服用します。
下痢、嘔吐
頭痛
めまい
発疹、蕁麻疹
紅斑
カンジダ膣炎
血小板減少
リンパ腺の腫れ
関節痛
黄疸
AST上昇
ALT上昇 など
また、ペニシリン系の抗生物質に過敏症がある方やアレルギー体質の方、腎障害患者、高齢者は慎重に投与する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けてください。
妊娠中の服用に関して、安全性は確立していません。
ケフレックス・ジェネリック (セファレキシン) 28錠:2,700円~ |
主な症状
ブドウ球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、肺炎球菌、腸球菌、大腸菌、淋菌などの細菌に対して有効です。
ジスロマック(一般名:アジスロマイシン)
ジスロマックの有効成分はアジスロマイシンで、マクロライド系に分類されている抗生物質です
タンパク質の合成を阻害して細菌の増殖を防ぐ作用があります。
深在性皮膚感染症や扁桃炎などの症状には、1日1回500mgを3日間服用します。また、尿道炎や子宮頚管炎では1,000mgを1回服用します。
下痢
蕁麻疹
紅斑
水疱
皮膚剥離
むくみ
肺炎
光線過敏症
血圧上昇、血圧低下 など
また、マクロライド系やケトライド系の抗生物質に過敏症がある方、高度肝機能障害患者、心疾患患者は慎重に投与する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けてください。
妊産婦や小児は安全性が確立していないため原則使用できません。
商品名 | ジスロマック | ジスリン ジスロマックジェネリック |
アジー ジスロマックジェネリック |
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有効成分 | マクラロイド系 アジスロマイシン |
マクラロイド系 アジスロマイシン |
マクラロイド系 アジスロマイシン |
メーカー | ファイザー | Asle pharmaceuticals | シプラ |
特徴 | 先発薬 服用回数が少ない |
ジェネリック 価格が安い 服用回数が少ない |
ジェネリック 価格が安い 服用回数が少ない |
価格 | 6錠:4,500円~ | 5錠:1,410円~ | 6錠:1,700円~ |
購入 |
主な症状
深在性皮膚感染症
咽頭炎、喉頭炎
扁桃炎
虫歯、歯周病
気管支炎
リンパ管炎、リンパ節炎
肺炎
尿道炎
子宮頚管炎
副鼻腔炎
顎炎
クラミジア、咽頭クラミジア
性感染症 など
ブドウ球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、肺炎球菌、淋菌、クラミジア属、マイコプラズマ属などの細菌に対して有効です。
クラビット(一般名:レボフロキサシン)
クラビットの有効成分はレボフロキサシンで、キノロン系(ニューキノロン)に分類されている抗生物質です。
DNAの合成を阻害して細菌の増殖を防ぐ薬です。成人では、1回250~500mgを1日1回服用します。
下痢、便秘
発疹、蕁麻疹
頭痛
口の渇き
貧血
光線過敏症
動悸 など
また、キノロン系の抗生物質に過敏症がある方、高度腎機能障害患者、心疾患患者、痙攣性疾患(てんかん)患者、重度の筋無力症患者、大動脈瘤や大動脈解離の既往歴のある方は慎重に投与する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けてください。
妊産婦や小児、新生児は安全性が確立していないため原則使用できません。
商品名 | クラビリン クラビットジェネリック |
レボフロックス クラビットジェネリック |
LQuin クラビットジェネリック |
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有効成分 | レボフロキサシン | レボフロキサシン | レボフロキサシン |
メーカー | Asle pharmaceuticals | シプラ | シプラ |
特徴 | 日本人向けの薬 ジェネリックで安い |
大容量でコスパが良い | 250mg、500mg、700mgから選べる |
価格 | 5錠:1,200円~ | 100錠:3,150円~ | 20錠:1,800円~ |
購入 |
主な症状
皮膚感染症
慢性膿皮症
咽頭炎、喉頭炎
扁桃炎
気管支炎
肺炎
感染性胃腸炎
膀胱炎
前立腺炎
子宮頚管炎
腸チフス
コレラ
クラミジア、咽頭クラミジア、淋病
性感染症 など
ブドウ球菌、インフルエンザ菌、アクネ菌、レンサ球菌、肺炎球菌、腸球菌、淋菌、サルモネラ属などの細菌に対して有効です。
サワシリン(一般名:アモキシシリン)
サワシリンの有効成分はアモキシシリンで、ペニシリン系に分類される抗生物質です。
細胞が生きていくために必要な細胞壁を壊して細菌を減らす作用があります。
ヘリコバクターピロリ感染症では、1回750mgをクラリスロマイシンやプロントンポンプインヒビターと併用します。
その他の感染症では、1回250mgを1日3~4回服用します。
下痢
発疹
むくみ
食欲不振
口内炎
黒毛舌
カンジダ膣炎 など
また、ペニシリン系の抗生物質に過敏症がある方やアレルギー体質の方、高度腎機能障害患者は慎重に投与する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けてください。
妊娠中は安全性が確立していないため、原則使用できません。
商品名 | アモキシシリン | ワイモックス(アモキシシリン) |
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有効成分 | アモキシシリン | アモキシシリン |
メーカー | Brown & Burk | アボット |
特徴 | ジェネリック 日本ではサワシリン |
ジェネリック 大容量でコスパが良い |
価格 | 21錠:1,420円~ | 150錠:6,500円~ |
購入 |
主な症状
ブドウ球菌、インフルエンザ菌、レンサ球菌、肺炎球菌、腸球菌、大腸菌、梅毒トレポネーマなどの細菌に対して有効です。
抗生物質の外用薬(軟膏)の副作用
続いて、外用薬(軟膏)として用いられる各抗生物質の特徴や副作用、処方される主な症状をご紹介します。
抗生物質の内服薬より比較てく副作用の発症は少ないですが、全くないわけではありません。
ダラシンT(一般名:クリンダマイシン)
ダラシンTの有効成分はクリンダマイシンで、リンコマイシン系に分類されている抗生物質です。
細胞が生きていくために必要なタンパク質の働きを阻害して細菌の増殖を防ぐ薬です。
1日2回、適量を患部に塗布します。
皮膚のつっぱり感、ヒリヒリ感
脂性肌
蕁麻疹
赤み
グラム陰性菌毛嚢炎 など
また、抗生物質で下痢や大腸炎を起こした経験のある方やアトピー体質の方は慎重に投与する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けてください。
妊娠中、授乳中、小児は安全性が確立していません。
【送料無料】 クリンダマイシンゲル 1本:3,300円~ |
主な症状
ブドウ球菌やアクネ菌に対して有効です。
アクロマイシン(一般名:テトラサイクリン)
アクロマイシンの有効成分はテトラサイクリンで、テトラサイクリン系の抗生物質です。
細胞が生きていくために必要なタンパク質の合成を阻害して細菌の増殖を防ぐ薬です。
1日数回、適量を患部に塗布します。
発疹
過敏症 など
妊産婦では、効果が副作用のリスクを上回る場合のみ使用可能です。高齢者や小児は長期連用を控えてください。
主な症状
感染性口内炎
歯周組織炎
抜歯や口腔内手術後の二次感染 など
テトラサイクリン感性菌に対して有効です。
ゲンタシン軟膏(一般名:ゲンタマイシン)
ゲンタシン軟膏の有効成分はゲンタマイシンで、アミノグリコシド系抗生物質です。
細胞が生きていくために必要なタンパク質の合成を阻害して細菌の増殖を防ぐ薬です。
1日数回、適量を患部に塗布、又はガーゼなどに塗布して患部に貼り付けます。
発疹
過敏症
腎障害
難聴 など
発生頻度は不明ですが、腎障害や難聴が現れる可能性があります。
長期連用は避け、これらの兆候が現れた場合には使用を中止して医療機関を受診してください。
ベトノベートGMスキンクリーム ベタメタゾン吉草酸エステル ゲンタマイシン ミコナゾール 1本:1,520円~ |
主な症状
表在性皮膚感染症
慢性膿皮症
びらんや潰瘍の二次感染 など
ブドウ球菌、レンサ球菌、大腸菌、緑膿菌、エンテロバクター属などの細菌に有効です。
フラジオマイシン(一般名:フラジオマイシン)
フラジオマイシンは、アミノグリコシド系の抗生物質です。
細胞が生きていくために必要なタンパク質の合成を阻害して細菌の増殖を防ぐ薬です。
1日数回、適量を患部に塗布、又はガーゼなどに塗布して患部に貼り付けます。
発疹
赤み
腫れ
過敏症
腎障害
難聴 など
発生頻度は不明ですが、腎障害や難聴が現れる可能性があります。長期連用は避け、これらの兆候が現れた場合には使用を中止して医療機関を受診してください。
また、妊産婦では効果が副作用のリスクを上回る場合のみ使用可能です。
ベタメタゾンクリーム ベタメタゾン吉草酸エステル フラジオマイシン 1本:1,800円~ |
主な症状
皮膚感染症
慢性膿皮症
外傷や手術後の二次感染 など
フラジオマイシン感性菌に対して有効です。
副作用が出た場合の対処法
抗生物質の副作用では、下痢や軟便などの胃腸障害が多く見られます。
処方された薬をきちんと飲み切らなければ細菌を殺菌できないため、軽度であれば以下の対処法を試してみてください。
発酵食品で乳酸菌を補給する
小まめに水分補給をする
他の抗生物質に切り替える(医師の判断により)
水分補給は、下痢による脱水症状を防ぐための方法です。
血便や激しい腹痛、脱水症状を起こしている場合などは抗生物質の使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
医薬品副作用被害救済制度
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品による重篤な副作用が原因で入院治療が必要になった場合の給付金制度です。
- 入院治療が必要な場合:医療費や医療手当を給付
- 障害が残った場合:障害年金や障害児養育年金を給付
- 死亡した場合:遺族年金や遺族一時金、葬祭費を給付
抗生物質では、発生頻度は不明ですが重篤な副作用が現れる可能性もあるため、該当する方は医薬品副作用被害救済制度の利用を推奨します。
副作用などの観点から抗生物質は市販されていない
抗生物質は効果が強く副作用のリスクも高いため、市販されていません。
持病や体質によっては慎重に使用する必要があるため、医師や薬剤師の指導を受けて使用することをおすすめします。
また、個人輸入では病院を受診せずに抗生物質を購入できます。使用方法を守り、副作用を理解した上で自己責任で使用してください。