ダイエットにはいろんな方法がありますが、下剤ダイエットはご存じでしょうか。
名前の通り「下剤を使ったダイエット方法」のことです。
本来なら便秘を解消するために使う下剤ですが、その下剤を使ったダイエット方法とは一体どんなものなのか、これから詳しく説明します。
下剤ダイエットとは
なかなか便が出ない便秘の状態を解消するために使う「下剤」ですが、この下剤を使ったダイエット方法があります。
それが下剤ダイエットです。
下剤を服用して排便を促すことで体重が減り、ダイエットできるというものです。
実際に排便をした後に体重を図ると少し軽くなっているため、下剤ダイエットはやせる効果があると言われてるようです。
下剤はどんな薬なのか
下剤は強制的に排便を促す薬で、その作用にはいくつか種類があります。
成分:酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム
大腸で水分を吸収する作用を抑制し、便に含まれる水分量を増やすことで便を柔らかくします。
薬を多めの水で服用することで、さらに効果を高めます。
成分:CMC(カルボキシメチルセルロース)、プランタゴ、オバタ、寒天、食物繊維
腸の中にある便を膨張させ、量を増やすことで腸を刺激、その刺激で腸の動きを促進させ、排便を促します。
薬を多めの水で服用することで、さらに効果を高めます。
成分:フェノールフタレイン系、ジフェニルメタン系、アントラキノン系
腸の神経を刺激することで、腸の働きを促進します。
ジフェニルメタン系はさらに大腸で水分を吸収する作用を抑制し、便に含まれる水分量を増やすことで便を柔らかくする作用もあります。
下剤ダイエットのリスク
健康的に毎日排便がある場合は、下剤を使用する必要はありません。
しかしダイエットのために下剤を使った場合、本来の使い方ではないため、徐々に服用量が増え乱用に繋がりやすくなります。
ここでは、下剤ダイエットによって起こる代表的なリスクを説明します。
慢性的な下痢
もともと便が出ない便秘症の方が使う薬なので、普通に排便のある人が使うと下痢の症状が表れやすくなります。
腸の中で常に柔らかい状態の便があるため、おならをした際に不意に漏らしてしまったり、トイレで出し切ったつもりでもまた腹痛と共に便意が訪れ、ひどい時はトイレから出ることができない場合もあります。
下痢は体の外へ大量の水分を排出するため、脱水症状にも気を付ける必要があります。
低カリウム血症
下剤の使用により下痢が生じると、健康維持に不可欠なミネラル「カリウム」が過剰に体の外へ排出され、低カリウム血症を引き起こします。
カリウム不足が続くと命に関わる症状が表れる場合もあるので、特に以下の症状に注意しましょう。
- 体に力が入らない
- 倦怠感や疲労感
- 多飲、多尿
- 不整脈
栄養失調
下剤を使用したダイエットを行うと、体内に取り入れた食べ物の栄養が吸収される前に便として排出されるので、体に必要な栄養分を摂取しにくくなります。
体に必要な栄養分を摂取できない期間が長引くと慢性的な栄養失調となり、体力や免疫力も低下、肌の弾力が落ちシワも目立つようになり、見た目の美しさも失われてしまいます。
下剤への依存
「初めは1錠でも痩せたのに、今は10錠くらい飲まないと効果が出ない」
「下剤を飲まないと太ってしまう」
もともとダイエットのための薬ではないので、下剤を飲めば体重が落ちるからと依存してしまうと、ダイエットどころか健康を損なってしまう可能性があります。
下剤は飲み続けると薬の作用に体が慣れてしまうため、徐々に量を増やしてしまい、気が付いたときにはショック症状を起こすくらい大量に服用して病院に搬送されたというケースもあります。
下剤ダイエットは本当に痩せるのか
下剤ダイエットにトライしたら、200~500g、人によっては1kgほど体重が落ちたという人が多いですが、これは本当に痩せたことになるのでしょうか。
そもそも1日の排便量の平均が100~200g、多い人では300~500gなので、体内の脂肪が減って痩せたというよりは、腸の中に溜まっていた便が外に排出されただけなので、本当の意味で痩せたわけではありません。
間接的なダイエット効果は期待できる
下剤は、本来なかなか排便がスムーズにいかない便秘の方が使う薬です。
便秘が続くと新陳代謝が低下し、体の中に脂質や老廃物をため込みやすくなります。
ため込みやすくなる体質が、結果として痩せにくい体となってしまい、次第に体重が増えていってしまいます。
しかし下剤を使うことで便秘が解消され、新陳代謝が良くなれば痩せやすい体になる可能性があります。
食事制限などのダイエットを行ってもなかなか体重が落ちず、便秘気味な人は下剤を使用して便秘を解消してみてはいかがでしょうか。
間接的な効果としてダイエットに成功するかもしれません。
痩せ目的ならダイエット薬を使用
痩せる事が目的で下剤を使用するのは、健康を損なう可能性が大きいのでおすすめできません。
今現在ダイエットしたい方で、特に便秘の悩みもないようであれば、ダイエット薬を使った方がより健康的で美しく痩せることができるのでおすすめです。
下剤ダイエットを実践した人々の声
ここでは、実際に下剤ダイエットを実践した人がTV番組で紹介された事例や、SNSに投稿された口コミを紹介します。
TV番組で紹介された事例
実際にダイエット目的で下剤を使用した方の体験談が、TV番組で紹介されました。
1988年、イギリスでの出来事です。
当時16歳だったルースという女の子は、体重が95kgあり、自分の体系にコンプレックスを持っていました。
彼女はダイエット目的で市販されていた下剤を飲み、18歳になるころには25kgの減量に成功していましたが、1日に飲む下剤の量は通常の10倍となる20錠を服用していました。
彼女が服用していた下剤は刺激性の下剤だったため、体がその作用に慣れてしまい、服用する錠数を増やさないと効果が出なくなってしまったからです。
その後リバウンドして体重が元に戻ると、また下剤の量を増やしてダイエット。
こんな生活を17年続けた結果、1日で飲む下剤の量は通常の45倍となる90錠を服用していました。
その結果、下剤を飲み続けたために慢性的な脱水症状を起こし、体調不良のため1日のほとんどをソファで過ごす毎日。
最終的に彼女は病院に助けを求め治療を開始しますが、12年経った今も下剤でほとんど機能しなくなった腸の治療中だそうです。
このようにダイエット目的で下剤を使って大変な目にあっている方もいるので、下剤ダイエットはあまりおすすめできません。
SNSに投稿された口コミ
下剤ダイエットしたらこんな時間までずっとお腹壊してるのもうやばい 明日出勤ですが 当欠キメちゃっていっすか?この間も当欠しにまったよ でも今回はまじの腹痛です こいつァマジです
— じゅんあ (@g_ku2v) February 19, 2019
下剤ダイエットどうなん?って聞かれたけど
・経験したことの無い動けない腹痛
・トイペ一日で無くなるくらいトイレ行きすぎて切れ痔チックな事なる
・出るのは脂肪じゃなくて💩。痩せてない
・下剤辞めたら便秘なるでもいいんやったらやってもいいんちゃう?で辞めるって言ってた。それでいいんや。
— ちろちゃん (@chi_hiro_tto) April 14, 2022
下剤ダイエット始めたら朝からトイレに篭りっきりで仕事にならない
— とらお (@torao_ikr) November 4, 2021
下剤ダイエットは非推奨なダイエット方法
下剤ダイエットについて説明しましたが、いかがだったでしょうか。
ダイエット目的のために下剤を使うのは危険が伴うので、おすすめできる方法ではありませんが、今現在便秘で悩んでおり、便秘を解消するために下剤を使用するという場合は問題ありません。
便秘を解消することで新陳代謝が良くなり、痩せやすい体質へと変化、結果的にダイエットに成功する可能性があります。
ダイエットはただ体重が落ちれば良いというものではありません。
適度な運動や食事制限を行い、健康的に痩せることが大切です。