ピルは生理の初日から服用を開始して、毎日決まった時間に飲み続けることで効果が得られる経口避妊薬です。
継続服用によって体内のホルモンバランスをコントロールし、ほぼ100%の避妊効果を発揮したり、ニキビなどの肌トラブルやPMSの改善に期待できます。
そのため、万一飲み忘れてしまった場合の避妊効果の変化や、正しい対処法について理解しておくことは非常に重要です。
ここでは、飲み忘れた後の時間経過ごとの対処法や避妊率との関係について、さらに飲み忘れを防ぐ対策についても詳しく解説していきます。
飲み忘れて24時間以内の場合
飲み忘れに気付いた時点で前回の服用から24時間以内の場合は、すぐに飲み忘れた1錠を服用するようにしましょう。
次の服用との間隔は短くなりますが、その後はそれまでと同じように決まった時間に服用を継続することができ、避妊効果にも影響はありません。
避妊以外の目的で服用しているケースにおいても、飲み忘れ24時間以内の時の対処法は同じです。
飲み忘れて24時間以上48時間以内
飲み忘れから24時間以上で48時間以内が経過した場合も、気付いた時点ですぐに飲み忘れた1錠を服用してください。
いつも服用している時間に気付いた時(前回の服用からちょうど48時間経過)は、前日の分も含めて2錠を服用するようにしましょう。
避妊目的で服用している場合、24時間以上が経過するとその後7日間は避妊効果が低下する可能性があります。
コンドームなどピル以外の避妊法を併用すると安心です。
飲み忘れて48時間以上
前回の服用から48時間以上が経過してしまった場合は、一旦ピルの服用を休止して次の生理後からの再スタートになります。
この時新しいシートを服用し始めて1週間ほどは、避妊効果が100%ではありません。
避妊目的でピルを服用している方は、必ずコンドームによる避妊を行うようにしましょう。
避妊以外の目的で服用している方は、飲み忘れに気付いた時点で2錠をまとめて服用し、その後は1日1錠ずつ同じように服用を継続してください。
偽薬を飲み忘れた場合
偽薬には、有効成分であるエストロゲンやプロゲステロンが含まれていません。
偽薬とは単なるデンプンの塊であり、毎日1錠飲み続けるという服薬リズムを崩さないために添付されているものです。
そのため偽薬は飲み忘れても避妊効果に影響はなく、飲み忘れた日から数えて7日間の休薬期間を挟んだ後、新しいシートの服用を開始すれば問題ありません。
飲み忘れた週と避妊率
飲み忘れたタイミングにもよって避妊率が異なります。
①飲み忘れて24時間以上48時間以内
同じ周期の中で初めて飲み忘れた場合 | 飲み忘れが全くない状態と比べると避妊率は低下しますが、アフターピルを用いた緊急避妊までは通常必要ありません。 |
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同一周期ですでに飲み忘れたことがあった、または前の周期の最終週に偽薬ではない飲み忘れがあった場合 | 飲み忘れが複数回ある、もしくは前周期最終週の実薬服用を飲み忘れがあり、定期的な性行為がある場合は緊急避妊を検討する必要があります。 |
②飲み忘れて48時間以上
飲み忘れから48時間以上が経過すると、飲み忘れがない場合と比べて避妊率は低下します。
飲み忘れた後7日間連続で服用完了するまで性行為は避けるか、コンドームを使用するようにしましょう。
休薬期間または服薬一週目に飲み忘れて性行為があった場合 | 緊急避妊を検討する必要があります。 |
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服薬二週目に飲み忘れて性行為があった場合 | 飲み忘れる直前の7日間にきちんと連続服用できていれば、緊急避妊の必要はありません。 |
服薬三週目に飲み忘れて性行為があった場合 | 休薬期間をおかず、現周期の実薬服用が完了したらすぐに次の新しいシートの服用を開始してください。次周期では飲み忘れがない時と同程度の避妊率が得られます。 |
ピルを飲み忘れた時に生理がきた場合
飲み忘れの期間が長く続き、そのまま生理になったという場合は、生理の開始5日目までであれば、新しいシートの1錠目から服用を再スタートすることができます。
また新しいシートで服用を再開した一周期は、必ずコンドームなどピル以外の避妊法も行うようにしましょう。
飲み忘れたまま生理が起こり、生理の開始から6日以上経過した場合は、一旦休薬してください。
その周期はピル以外の手段で避妊を行い、次の生理が開始した日から新しいシートの服用を再開するようにしましょう。
ピルを飲み忘れた時に不正出血が起きた場合
ピルを飲み忘れることでプロゲステロンの値が低下し、子宮内膜が剥がれ少量の出血が起こることがあります。
これは、通常飲み忘れなくピルを継続服用している時7日間の休薬(または偽薬服用)後に起こる消退出血と言われるものと同じ原理で起こる現象で、数日~1週間程度でおさまれば特に問題はありません。
しかし出血量が非常に多い時や、何週間も出血が続く時はすみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
ピルを飲み忘れないための対策
万一ピルを飲み忘れてしまっても、適切に対処すれば次周期以降の避妊効果を確実に得ることは可能です。
さらに簡単な対策を取り入れることで、飲み忘れてしまう可能性を大幅に低くすることができます。
ピルの飲み忘れ対策として、主に次の二つが挙げられます。
アラームをかける
服薬時間にスマホのアラームをセットすることで、簡単に飲み忘れを防ぐことができます。
アラームを止めたら、他のことをして忘れてしまう前になるべく早く服用することが飲み忘れないためのコツです。
飲み忘れにくい時間を選ぶ
自分のライフスタイルの中で、一番忘れにくいタイミングをピルの服薬時間として設定することも有効です。
例えば朝昼夕いずれかの食前食後のタイミングや就寝前など、プライベートの生活習慣とセットにして毎日のルーティンにすることで飲み忘れにくくなります。
特に、日中は仕事などで自由な時間を取りづらいという方におすすめの方法です。
正しいピルの服用方法
ピルは生理開始日から服用を開始し、21日間 1錠ずつ服用を継続します。
ピルは体内のホルモンバランスをコントロールするものであるため、できるだけ毎日決まった時間に服用することも重要です。
21日間の服用が完了した後、7日間の休薬期間をおくか偽薬の服用を続け、次の生理が起こるのを待つまでで一周期となります。
次の生理が開始したら、新しいシートの1錠目から服用を再開してください。
飲み忘れが多い場合は1相性ピルがおすすめ
どうしても飲み忘れが多い方には、1相性のピルがおすすめです。
マーベロン![]() |
ヤスミン![]() |
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ホルモン | デソゲストレル | ドロスピレノン |
世代 | 第3世代 | 第4世代 |
相性 | 1相性 | 1相性 |
特徴 | 男性ホルモン抑制効果が高く、ニキビや多毛症に有効 | むくみにくく、ニキビにも有効、PMSの治療にも使われる |
ピルには、1シートの用量が全て同じ1相性のものと、用量が段階的に変化する2相性、3相性のものがあります。
1相性のピルであれば服用の順序を問わないため、バッグの中に多めにストックして外出先での飲み忘れを防ぐことができます。
ピルの服用は適切な飲み忘れ対策を行い、一度生活リズムの一部として慣れてしまえば誰でも簡単に継続できるものです。
非常に確度の高い避妊方法の一つとして、ぜひ取り入れてみましょう。