最近抜け毛が増えてきたと感じても、何が原因で抜け毛が起きているのか、またAGAではないのかどうかは、なかなか判断しづらいものです。
抜け毛には様々なタイプがあり、AGA以外にも生活習慣の乱れやストレス、季節の変化によっても抜け毛は起きます。
当記事では、AGAと一過性の抜け毛との見分け方、さらに抜け毛の原因について詳しく解説していきます。
抜け毛は何本なら正常?
抜け毛は、健康な人でも一日平均60~100本程度ある自然な現象です。
髪の毛は、成長期・退行期・休止期という三つのターンを繰り返しており、これをヘアサイクルと言います。
成長期は、髪を生み出す元となる毛母細胞が活発に分裂し、髪の毛はどんどん伸びていきます。
退行期に入ると細胞分裂は弱まって抜けやすくなり、休止期になると髪の成長は完全に止まりやがて抜け落ちます。
ブラッシング時に数本抜けたりシャンプーの時に少量抜けたりするのは、健康なヘアサイクルの範囲内です。
1日に抜ける量
健康なヘアサイクルの人でも、一日平均で60~100本抜けると言われています。
とは言え、抜け毛を一本ずつ数えることは不可能です。
見た目の目安としては、一般的な男性の短髪の長さで手の平の上にのせた時、明らかに毛の束感が分かるもののしっかりとしたすき間が確認できる量になります。
また季節によって抜け毛の量は変化し、一時的に抜け毛が増えることもあります。
シャワーの時に抜ける量
シャワーの時の抜け毛の量は、シャワー後に排水溝を見ることで確認できます。
健康なヘアサイクルの人の一日の抜け毛の量は、平均で60~100本というのはすでに述べた通りですが、この抜け毛のほとんどはシャワー中に抜けるものです。
そのため、本数にすると100本以下、見た目で言うと束感はあってもすき間があり毛玉になっていなければ自然現象としての抜け毛の量として適正範囲だと言えます。
枕についている抜け毛の量
通常寝相があまり良くない人でも、寝返りなどで起こる枕との摩擦による抜け毛はごくわずかです。
朝起きた時、ちらほらと数本抜け毛が確認できる程度であれば、特に問題はないでしょう。
しかし、ざっと見た感じで数十本の抜け毛が確認できるようであれば、ヘアサイクルが乱れている可能性が非常に高いと言えます。
抜け毛が気になっている方は、枕カバーを白いものにすると抜け毛の量が把握しやすくなります。
抜け毛の原因と対策
一口に抜け毛と言っても、その原因には様々なものがあります。
抜け毛を防ぐには、まずその原因を把握してそれに合わせた対策を行うことが非常に重要です。
ここでは、抜け毛の主な原因7つとその対策について詳しく見ていきましょう。
生活習慣
偏った食生活や睡眠不足は、抜け毛の原因となります。
コンビニ食や加工食品などは脂質が多く、健康な髪の成長に必要なビタミンやミネラルが不足しがちです。
また、毛母細胞の分裂を促進する成長ホルモンは夜寝ている間に多く分泌されるため、昼夜逆転の生活や睡眠不足も抜け毛の原因の一つとなります。
生活習慣を見直す
生活習慣が原因の抜け毛対策には、規則正しい食事と最低5時間以上の良質な睡眠が必要です。
食事においては、髪の材料となるたんぱく質、そのたんぱく質の合成を促す亜鉛、そして頭皮の新陳代謝と血行を促すビタミンB及びEを意識して摂取するようにしましょう。
また、成長ホルモンの分泌が盛んになる午後10時~午前2時の間は睡眠をとるようにするのが理想的です。
ストレス
マウスを用いた実験により、ストレスによって分泌されるホルモンの作用で毛を生み出す幹細胞の休止期間が長くなり、抜け毛が増えることが明らかになっています。
円形脱毛症も、ストレスが発症のきっかけになり得るとされている抜け毛の一種です。
ストレスを乗り切る方法
人によっては、ストレスによる抜け毛を過剰に気にすることがさらなるストレスになってしまう場合があります。
そのためストレスが原因の抜け毛の場合、抜け毛の本数をシャワーのたびに確認することはやめるようにしましょう。
軽い運動やメンタルトレーニング、深呼吸など、抜け毛のことから意識をそらして上手く気分転換することが重要です。
喫煙
煙草に含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる作用があります。
頭皮の毛細血管が縮小し血行が悪くなると、酸素や栄養素など髪の成長に必要な成分が十分に行き届かなくなってしまい、栄養不足になった髪はやがて抜け落ちることになります。
禁煙に挑戦してみる
活性酸素を生み出し細胞を老化させてしまう喫煙は、髪だけでなくあらゆる内臓器官にも悪影響を及ぼします。
抜け毛対策のためにも、ぜひ禁煙に挑戦してみましょう。
どうしても禁煙が難しい場合は、ヘッドスパで頭皮環境を改善したりサプリで栄養を補ったりすることも選択肢の一つです。
皮膚疾患
脂漏性皮膚炎という頭皮の病気が、抜け毛を誘発することもあります。
これは皮脂の過剰分泌が原因で、マラセチア菌というカビの一種が増殖し頭皮が炎症を起こしてしまうためです。
脂漏性皮膚炎を発症すると、フケと一緒に細い毛が抜けるようになります。
円形脱毛症は今すぐ病院へ
皮膚疾患が原因の抜け毛は、皮脂の過剰分泌と菌の繁殖を抑えることで改善することが可能です。
また皮膚疾患に対する免疫機能の異常で起こる円形脱毛症は、放置すると進行する恐れもあります。
脱毛部位を見つけた時点で、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
紫外線
頭皮も、顔や身体と同じように日焼けをします。
紫外線を長時間浴びると頭皮が炎症を起こすのはもちろん、髪を生み出す毛母細胞や毛包幹細胞を損傷させ、健康で強い髪が成長できなくなってしまう可能性があるのです。
また紫外線によるダメージは髪自体にも蓄積され、キューティクルの剥離や髪のたんぱく質の流出などが起こる可能性があります。
紫外線対策
紫外線が強い時期の屋外レジャーでは、必ず帽子をかぶるようにしましょう。
スプレーやミスト状になっている頭皮や髪専用の日焼け止めの中には、UVカット効果があるだけではなく頭皮ケアが同時にできるタイプも存在します。
頭皮に日焼け止めを塗ることに抵抗がある方には、メラニンの生成を抑えたり活性酸素を除去したりする作用を持つ日焼け止めサプリの活用もおすすめです。
間違ったヘアケア
抜け毛の原因として意外に多いのが、間違ったヘアケアによるものです。
シャンプーやリンス、ワックスなどの整髪料が頭皮に残ったままの状態は、雑菌が増殖し炎症の原因となります。
また、洗浄力が強いシャンプーで頭皮の皮脂を落とし過ぎるのも逆効果です。
ヘアケアを見直そう
シャンプーの泡は、すすぎ残しがないようにシャワーでしっかりと流すようにしましょう。
頭皮環境にとっては、朝のシャンプーではなく就寝前にシャンプーして整髪料を洗い流すことも重要です。
頭皮が敏感肌の方には、シャンプーを使わずお湯だけで汚れを洗い流す「湯シャン」を取り入れてみるのも効果があります。
AGAの初期症状
AGAは遺伝的な要因やホルモンバランスの乱れ、加齢などが原因で起こります。
- 抜け毛の量が増えた(一日の平均値60~100本より明らかに多い)
- 髪の毛のハリやコシがなくなり細い毛が増える
- 生え際が変化する(後退する、薄くなるなど)
抜け毛がAGAの初期症状としてのものかどうかを見極めるために、抜け毛の本数を毎日確認するのは現実的ではありません。
そのため、より簡単にチェックできる方法として、抜けた毛の毛根を観察することがおすすめです。
毛根が小さくなっていたり形が歪んでいたりする場合、それはヘアサイクルによる抜け毛ではなくAGAの初期症状である可能性があります。
治療薬やサプリを活用
AGAは、専用の治療薬や有用成分の配合されたサプリを活用することで改善することができます。
抜け毛を抑える内服タイプのAGA治療薬においては、服用した人の98%に薄毛改善の効果が見られたという治験結果もあり、非常に有効な対策であることが分かります。
また血行促進作用のあるサプリを飲むことで体質を改善し、健康的なヘアサイクルに近づけることも可能です。
抜け毛増える季節がある
実は、抜け毛の量は一年中同じというわけではありません。
一般に、春と秋は抜け毛が増える季節だとされています。
まず春は、冬の寒い間防寒のために生えていた毛が、気候が温暖になるのと共に抜けやすくなるために抜け毛が増えます。
また春に新しい環境に変わり、ストレスやプレッシャーが頭皮の血行やホルモンバランスに悪影響を及ぼすのも理由の一つです。
一方秋は、夏の間の紫外線ダメージにより頭皮や髪が弱っている状態です。
秋の抜け毛の量は、ヘアサイクルによる通常の抜け毛量の二倍になることもあります。
抜け毛の量の増加が季節と連動している場合は、季節が変わればまた抜け毛の量は落ち着いてきますのでご安心ください。
どこからがAGAなのか
一過性の抜け毛なのかAGAなのかについては、医学的な診断基準が存在します。
ここでカギとなるのが、こめかみにある「角額」と言われる部分と、頭のてっぺんと耳の穴を結ぶ「頭頂線」と言われるラインです。
剃り込み部分にあたる角額が、頭頂線の手前2cmよりも後退していれば、AGAと診断されます。
また、AGAによる抜け毛は基本的に前頭部及び頭頂部でしか起こらないとされているため、抜け毛が側頭部か耳より下の後頭部でしか起きていないのであれば、AGAではない抜け毛の可能性が高いと言えます。
日常生活の中でセルフチェックできるポイントとしては、シャワーの時の抜け毛の量より枕についた抜け毛の量を確認してみましょう。
前の章でも触れたように、通常寝返りの摩擦だけで抜ける毛の量は決して多くはありません。
枕についた抜け毛の量が増えていると感じたら、AGAの初期症状の可能性があります。
AGAは進行性のある病気
AGAは進行性の病気であり、自然治癒することはありません。
単に抜け毛が増えただけでなく、髪の毛が細くなったり毛根が小さくなったりなど、AGAの初期症状に当てはまる場合は、できるだけ早く対策をとる必要があります。
しかし、AGAの改善に有効な治療薬はいくつか存在します。
生活習慣やヘアケアを変えても抜け毛が改善しない場合は、積極的にAGA治療薬の使用を検討してみましょう。
抜け毛を抑える効果のある治療薬
AGAの治療薬には、抜け毛を抑えるタイプと、発毛を促すタイプの二種類が存在します。
今ある抜け毛を減らしてAGAの進行を止めたいという方には、抜け毛を抑えるAGA治療薬であるプロペシアとザガーロがおすすめです。
プロペシア
プロペシアは、有効成分としてフィナステリドを含む内服型治療薬です。
フィナステリドは、男性ホルモンであるテストステロンをAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素の働きを阻害し、抜け毛の進行を抑えます。
同じ有効成分を持つジェネリック薬も多数販売されており、特に前頭部と頭頂部の抜け毛が気になるM字型・O字型の薄毛の方におすすめです。
ザガーロ
ザガーロの有効成分はデュタステリドです。
デュタステリドもフィナステリド同様DHTの生成を阻害することでAGAの進行を抑える働きを持っています。
フィナステリドとの違いとしては、作用する酵素の種類です。
前頭部や頭頂部に多く存在する酵素・Ⅱ型5αリダクターゼにのみ作用するフィナステリドに対して、デュタステリドはⅡ型だけでなく側頭部や後頭部に多く存在するⅠ型5αリダクターゼにも作用します。
フィナステリドと比べ、より広い範囲をカバーできるのがデュタステリドのメリットだと言えます。
発毛を促す効果のある治療薬
発毛や育毛を促す効果のある治療薬としては、ミノキシジルが挙げられます。
ミノキシジルを有効成分として配合した育毛剤は、日本製のものもたくさんの種類があり、非常にポピュラーな治療薬です。
ミノキシジルは外用薬(塗り薬)としてだけでなく、タブレット状になった内服薬としても販売されています。
抜け毛を抑えるプロペシアやザガーロなどと併用もでき、より効率よく抜け毛対策をすることが可能です。
ミノキシジル
ミノキシジルは唯一発毛効果のある有効成分で、血行促進、毛母細胞の活性化、弱った毛母細胞の再生という作用を持っています。
血流を改善して必要な栄養素を毛母細胞に届け、健康な髪の成長をサポートします。
さらに、新たな血管の形成に作用する再生因子(血管内皮細胞増殖因子)の産生を促進することで、血流が滞り弱ってしまった毛母細胞を修復し、発毛を促します。
原因を知り対策することが大切
抜け毛には、生活習慣や季節的なものなどが原因となる一過性のものもあれば、AGAの初期段階のものもあります。
AGAの初期症状としての抜け毛ではない場合でも、生活習慣の改善やヘアケアの見直しは今後起こり得るAGAの予防にも役立ちます。
抜け毛の原因を正しく把握し、原因に合った対策をするようにしましょう。
またAGAは進行性の病気であるため、早めに治療を開始することも重要だと言えます。
AGAの改善には、プロペシアやザガーロ、ミノキシジルなどAGA治療薬の使用が非常に有効です。
AGAによる抜け毛に気付いたら、AGA治療薬を上手く活用して早期治療をスタートしましょう。