フィナステリドとデュタステリドはどちらも薄毛の原因となる男性ホルモンを抑制することで、抜け毛を抑える効果があります。
よく似たAGA治療薬のため、どちらを使うべきなのか迷っている方も少なくないでしょう。
本記事ではそんな方の悩みに寄り添って、同じAGA治療薬のフィナステリドとデュタステリドの違いについて、詳しく解説していきます。
フィナステリドとデュタステリドの違い
効果 | フィナステリドでも効果は十分だが、デュタステリドの方が効果は強い。 |
---|---|
副作用 | フィナステリドに比べ、副作用の発現率はデュタステリドの方が高い。 |
価格 | 国内製は先発薬、ジェネリック共にザガーロの方が高い 海外通販では先発薬はデュタステリドの方が安く、ジェネリックはデュタステリドの方が高い。 |
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも薄毛の原因となる男性ホルモンを抑制することで、抜け毛を抑えるという点では同じです。
ここから、フィナステリドとデュタステリドそれぞれの違いについて、下記4項目に分けて詳しく解説していきます。
内容を参考に自分に合ったほうを選びましょう。
効果の違い
AGAは、5α還元酵素よってつくられる男性ホルモンの一種、ジヒドロテストステロンの増加が原因であるため、5α還元酵素の働きを抑えることがAGAの改善に繋がります。
5α還元酵素には、前頭部・頭頂部が薄くなるⅡ型と、側頭部・後頭部が薄くなるⅠ型がありますが、フィナステリドが阻害するのはⅠ型のみです。
一方、デュタステリドは、Ⅰ型とⅡ型どちらにも作用します。
そのため生え際や頭頂部の薄毛が気になる方、フィナステリドで効果を感じなかった方でもデュタステリドで効果を得られる可能性があるのです。
効果の強さ
AGA患者を対象とした、デュタステリド0.02mg、0.1mg、0.5mgとフィナステリド1mgを24週間投与した、試験結果です。
※頭頂部円内(直径2.54cm)のベースラインからの毛髪変化量での比較です。
デュタステリド 185例 |
デュタステリド 188例 |
デュタステリド 184例 |
フィナステリド 179例 |
|
---|---|---|---|---|
用量 | 0.02mg | 0.1mg | 0.5mg | 1mg |
変化量 | 17.1 | 63.0 | 89.6 | 56.5 |
フィナステリドとの差 | -39.4 | 6.5 | 33.0 | – |
出典:ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg|医薬品インタビューフォーム
AGA患者にフィナステリドとデュタステリドを投与し、24週間後の結果を比較した試験では、フィナステリド1mgと比べ、デュタステリド0.1mg、0.5mgの方が毛髪数が多いという結果となりました。
デュタステリドは5α還元酵素のⅠ型とⅡ型のどちらにも作用し、広範囲の部位の薄毛に効果的であることから、Ⅰ型のみに作用するフィナステリドよりも効果が高いとされています。
効果を実感できるまで
効果について、即効性は期待できません。
どちらも効果を実感するまで最低でも半年間は継続服用が必要です。
しかし、基準となる半年間よりも早く効果を実感する人や1年以上経ってから効果が現れる場合もあり、症状や体質などによる個人差があります。
また、自分の症状に薬が合っているかを確かめるだけでも半年間は必要です。
半減期の違い
血中濃度の半減期(持続効果時間)においても、デュタステリドの方が長いです。
デュタステリドはフィナステリドと比べ半減期が長く、血中に成分が長くとどまり効果は蓄積されます。
しかしデメリットとして挙げられるのが、持続性が高い分、身体への負担も大きくなるという点です。
半減期の長いデュタステリドはフィナステリドよりも副作用が出やすくなります。
副作用の違い
おもな副作用は下記の通りです。
・1%以上
性欲減退
・1%未満
勃起不全
射精障害
精液減少
・1%以上
性欲減退
勃起不全
射精障害
・1%未満
発疹
頭痛
抑うつ
乳房障害
お腹の不快感
どちらもAGAの原因である男性ホルモンの働きを抑える作用から、男性機能の低下が見られますが、発現率は極めて低いです。
また、重篤な副作用の報告はどちらもほとんどありません。
そのため安全性は高いと言えますが、体調や体質により個人差があります。
とくにデュタステリドはフィナステリドよりも副作用が出やすく注意が必要です。
価格の違い
ザガーロ(デュタステリド)とプロペシア(フィナステリド)といったAGA治療薬は、保険適用外となります。
そのため病院で処方してもらう場合、薬の価格はクリニックにより自由に設定されます。
それぞれ薬代の価格相場は下記の通りです。
・プロペシア:8,000円前後
比較すると国内の病院相場はザガーロの方が高いです。
ザガーロは日本でしか販売しておらず、海外では同じ製薬会社から同成分の治療薬が「アボダート」として販売されています。
※韓国ではAGA治療薬としてアボダートが承認されています。
個人輸入の場合プロペシアより、アボダートの方が価格が安くなっています。
プロペシア | ザガーロ(アボダート) | |
---|---|---|
画像 | ||
分類 | 先発薬 | 先発薬 |
成分 | フィナステリド | デュタステリド |
価格 | 1mg28錠:9,300円 | 0.5mg30錠:4,500円 |
購入 |
ジェネリックの違い
先発薬よりも安く購入できるジェネリック品でも比較しました。
病院処方のジェネリックの価格相場は下記の通りです。
・プロペシア:5,000円前後
ジェネリック品でもザガーロジェネリックの方が高いです。
しかしいずれも先発薬と比べるとだいぶ価格を抑えることができます。
フィナクス | フィンペシア | デュタストロン | デュタボルブ | デュタプロス | |
---|---|---|---|---|---|
画像 | |||||
分類 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 | ジェネリック医薬品 |
成分 | フィナステリド | フィナステリド | デュタステリド | デュタステリド | デュタステリド |
価格 | 1mg100錠:4,000円 | 1mg30錠:1,520円 | 0.5mg30錠:2,700円 | 0.5mg30錠:3,150円 | 0.5mg30錠:3,420円 |
購入 |
どっちを選べばよいのか?
フィナステリドよりもデュタステリドの方が効果は高いですが、その分、副作用のリスクも上がります。
そのため効果が高いからという理由だけでデュタステリドを使用することはお勧めしません。
はじめて服用する方や年齢が若い方は、フィナステリドをまずは試してみましょう。
そして40代以降や、フィナステリドの用量を増やしても症状が抑えられなくなってきた場合、デュタステリドへの切り替えを検討してください。
フィナステリドとデュタステリドは併用できない
フィナステリドとデュタステリドは併用できません。
作用メカニズムはどちらも、5αリダクターゼの働きを阻害することで男性ホルモンの働きを抑制することです。
同じ作用メカニズムで作用する成分は、併用すると副作用のリスクを高めることに繋がるため併用できません。
また、フィナステリドとデュタステリドを一緒に服用すればその分高い効果を得られるということもありませんので、絶対にやめましょう。
交互の使用に関して
どちらか一方を服用し続けていると耐性がついてしまうため、フィナステリドとデュタステリドは交互に服用したほうが効果的であるという噂があります。
しかしAGA治療薬は長期服用により耐性が付くことはありません。
また、フィナステリドとデュタステリドでは薬の半減期が違うため、交互に使用することは推奨されていません。
ミノキシジルとの違い
ミノキシジルも有名なAGA治療薬の一つですが、フィナステリドやデュタステリドとはそもそも作用が異なります。
ミノキシジルは発毛促進、フィナステリドやデュタステリドはAGAの進行予防です。
フィナステリドやデュタステリドの効果は抜け毛を抑えることで、毛を増やす効果はありません。
また、ミノキシジルの外用薬はAGA治療薬ですが、タブレットタイプは安全性が確立されておらず、AGA治療薬としては認められていません。
しかし発毛効果の高さから、ミノキシジルタブレットをAGA治療薬として処方しているクリニックも多いです。
ミノキシジルとの併用はOK
フィナステリドとデュタステリドの併用はできませんが、ミノキシジルとの併用はできます。
どちらもミノキシジルとは作用が異なるため併用が可能で、とくに発毛効果も得たいという方にはおすすめです。
フィナステリドとデュタステリドで抜け毛を防ぎ、ミノキシジルで発毛を促すことで、ダブルの力でさらなる効果を期待できます。
フィナステリド100錠+ミノキシジル100錠 | デュタステリド90錠+ミノキシジル100錠 | |
---|---|---|
画像 | ||
成分 | フィナステリド ミノキシジル |
デュタステリド ミノキシジル |
価格 | 1mg/5mg200錠:6,750円 | 0.5mg/5mg190錠:8,800円 |
購入 |
よくある質問
フィナステリドとデュタステリドについて、よくある質問を集めました。
なかでも特に多かったものを、2つピックアップしてご紹介します。
事前にポイントや注意点などをしっかりと押さえて正しく使用しましょう。
フィナステリドからデュタステリドに切り替えると初期脱毛は起きる?
副作用の一つである初期脱毛を不安に感じる人も多いようですが、フィナステリドからデュタステリドへの切り替えが原因で起こる可能性は低いとされています。
たしかにデュタステリドの方が効果は高く副作用のリスクは上がりますが、おもに男性機能に関する副作用です。
また万が一、初期脱毛が起こっても使用を続ければ症状も次第におさまります。
フィナステリドもデュタステリドも効かない場合はどうすればよい?
通常、効果を実感できるまで半年を基準としていますが、半年継続しても全く効果を実感できない場合があります。
考えられる理由としては、薬が自分の症状や体質に合ってないか、AGA以外の病気が原因の脱毛症であることです。
もちろん効果が出るまでに時間がかかってしまっているだけの可能性もありますが、まずは病院を受診し医師へ相談をして下さい。