降圧剤のランキングは?降圧剤の適切な選び方や注意点

降圧剤のランキングは?降圧剤の適切な選び方や注意点

降圧剤は血圧を低下させるために用いられる薬で、高血圧症の治療薬です。

さまざまな種類があるため、どの降圧剤を選べば良いか分からない方もいるでしょう。

本記事では、よく処方されている降圧剤のランキングや服用時の注意点をご紹介します。降圧剤選びの参考にしてみてください。

降圧剤の種類

一口に降圧剤といっても、その種類はさまざまです。

本項目では、代表的な降圧剤の作用や薬品名を紹介します。

種類 作用 薬品名
アンジオテンシンⅡ
受容体拮抗薬
※ARB
血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡという物質の生成を阻害 アジルバ、ブロプレス、ニューロタンなど
アンジオテンシン
変換酵素阻害薬
※ACE阻害薬
血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡという物質の生成を阻害 エースコール、タナトリル、レニーベースなど
利尿剤 排尿を促して身体の余分な水分を排出し、高血圧やむくみを解消 ナトリックス、ダイアート、トリテレンなど
カルシウム拮抗薬 血管を収縮させるカルシウムの働きを抑制 ナトリックス、ダイアート、トリテレンなど
α遮断薬 血管を収縮させるα1受容体を遮断 カルデナリン、デタントールなど
β遮断薬 心臓の機能に関わるβ受容体を遮断し、心拍数を抑える インデラル、テノーミン、ビソプロロールフマルなど

薬の作用は異なりますが、いずれも血圧低下に繋がります。

降圧剤処方量ランキング

本記事では、株式会社QLifeが発表している「高血圧症処方ランキング」を参考に、9種類の降圧剤をご紹介します。

商品名 1位 アムロジピン 2位 オルメサルタン 3位 アジルバ 4位 ザクラス 5位 テルミサルタン 6位 テラムロ 7位 ビソプロロールフマル 8位 カンデサルタン 9位 シルニジピン
画像 アムロジピン オルメサルタン アジルバ ザクラス テルミサルタン テラムロ ビソプロロールフマル カンデサルタン シルニジピン
価格 30錠:2,850円~ 30錠:2,250円~ 取り扱いなし 取り扱いなし 取り扱いなし 取り扱いなし 30錠:1,980円~ 30錠:1,800円~ 取り扱いなし
商品詳細 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る

降圧剤は症状によっても選び方が異なります。後述する正しい選び方も参考にしてください。

参考:医薬情報QLifePro

第1位:アムロジピン

ノルバスク
30錠:2,850円~
ノルバスクジェネリック
200錠:4,500円~
種類 カルシウム拮抗薬
有効成分 アムロジピンベシル
服用方法 2.5~5mgを1日1回
副作用 肝機能障害、動悸、めまい、むくみ、ほてりなど

高血圧症の治療薬として、世界的に使用されている薬です。

カルシウムの働きを抑えて血管を広げ、血圧が低下します。高血圧症の他、狭心症の治療にも用いられます。

高齢者や肝機能障害、腎機能障害の方は慎重に服用しなければならないため、必ず医師の指導の下服用してください。

第2位:オルメサルタン

オルメテック・ジェネリック
30錠:2,250円~
種類 ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
有効成分 オルメサルタン
服用方法 1日あたり5~10mg、最大で1日40mgまで増量
副作用 むくみ、かゆみ、下痢、貧血、めまいなど

1995年に、日本の大手製薬会社である第一三共が生み出した薬です。

アンジオテンシンⅡの働きを阻害して血圧を低下させます。

副作用のかゆみが酷い場合には、アナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため医師に相談してください。

第3位:アジルバ

アジルバ

種類 ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
有効成分 アジルサルタン
服用方法 20mgを1日1回、最大で1日40mgまで増量
副作用 めまい、頭痛、血中カリウムや尿酸の上昇など

武田薬品工業が開発した薬で、有効成分アジルサルタンがアンジオテンシンⅡの働きを阻害します。

心臓や腎臓の保護作用があるため、心疾患や腎臓疾患の方でも服用可能です。

ただし、血中のカリウムや尿酸の値が高くなる場合があるため、服用中は定期的に血液検査が必要です。

第4位:ザクラス

ザクラス

種類 ARB、カルシウム拮抗薬
有効成分 アジルサルタン、アムロジピン
服用方法 1日1回1錠
副作用 むくみ、湿疹、ふらつき、動悸、心房細動など

ザクラスはARBとカルシウム拮抗薬の有効成分を配合した薬です。

ひとつで両方の効果が得られるため、2種類服用しなくて良いというメリットがあります。

しかし、ザクラスは第一選択薬ではないため、アジルサルタンとアムロジピンを併用している場合などに処方されることが一般的です。

第5位:テルミサルタン

テルミサルタン

種類 ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
有効成分 テルミサルタン
服用方法 1日あたり20~40mg、最大で1日80mgまで増量
副作用 むくみ、咳、かゆみ、不安感など

ドイツの製薬会社ベーリンガーインゲルハイムが開発した薬です。

アンジオテンシンⅡの働きを阻害し、血圧の上昇を防ぎます。

服用開始時は20mgから服用を始め、最大で80mgまで増量可能ですが、肝機能障害の方は1日最大40mgまでのため注意が必要です。

第6位:テラムロ

テラムロ

種類 ARB、カルシウム拮抗薬
有効成分 テルミサルタン、アムロジピン
服用方法 1日1回1錠
副作用 咳、湿疹、めまい、頭痛、貧血など

テラムロはミカムロ配合錠のジェネリック医薬品で、ARBとカルシウム拮抗薬を配合した薬です。

ザクラスと同様に、高血圧症治療では第一選択薬として処方されませんが、テルミサルタンとアムロジピンを併用している場合に処方されることがあります。

第7位:ビソプロロールフマル

メインテート
30錠:1,980円~
メインテートジェネリック
100錠:2,340円~
種類 β遮断薬
有効成分 ビソプロロールフマル
服用方法 5mgを1日1回
副作用 徐脈、動悸、心房細動、房室ブロックなど

心臓に作用し、心拍数を抑えて血圧を低下させる薬です。高血圧症の他に心不全や不整脈の治療目的で処方されます。

慢性的な心疾患も併発している方は服用方法に注意が必要なため、自己判断で服用・中断せず、必ず医師の指導を受けてください。

第8位:カンデサルタン

ブロプレス
30錠:1,800円~
種類 ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
有効成分 カンデサルタンシレキセチル
服用方法 4~8mgを1日1回
最大で1日12mgまで増量
副作用 むくみ、咳、湿疹、ふらつきなど

武田薬品工業が開発した薬で、高血圧症の他、軽症~中等症の慢性心不全にも用いられています。

一般的には1日あたり最大で12mgまで服用可能ですが、腎機能障害の方は1日あたり2~8mgまでのため注意が必要です。

第9位:シルニジピン

シルニジピン

種類 カルシウム拮抗薬
有効成分 シルニジピン
服用方法 5~10mgを1日1回朝食後
最大で1日20mgまで増量
副作用 頭痛、肝機能障害、尿蛋白陽性、めまいなど

シルニジピンはアテレックのジェネリック医薬品で、血圧低下の他に臓器保護作用もあるため、心疾患や腎臓疾患の方でも服用可能です。

一般的には朝食後に5~10mgを服用しますが、重症の高血圧症の方は1日あたり10~20mgまで増量して服用します。

降圧剤の選び方

2019年に発表された高血圧治療ガイドラインを基に、降圧剤の適切な選び方をご紹介します。

ただし、降圧剤は服用方法を誤ると血圧が下がり過ぎたり心臓や肝臓などの臓器に負担がかかってしまうため、まずは病院を受診し、医師に相談しましょう。

参考:高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会

1日1回服用の薬を選ぶ

高血圧症の治療は長期間に及ぶことが多く、治療薬も長期服用となります。

そのため、服用回数が1日1回の薬を選ぶことが推奨されます。

また、複数の薬を併用する場合には、配合錠への切り替えも検討しましょう。

商品名 ノルバスク・ジェネリック オルメテック・ジェネリック メインテートジェネリック ブロプレス
画像 ノルバスクジェネリック オルメテック・ジェネリック メインテートジェネリック ブロプレス
価格 200錠:4,500円~ 30錠:2,250円~ 100錠:2,340円~ 30錠:1,800円~
ボタン

症状にあわせて選ぶ

治療ガイドラインでは、左室肥大や心不全をはじめとした特定の症状がある場合の降圧剤を示しています。

カルシウム拮抗薬 ARB/ACE阻害薬 サイアザイド系
利尿剤
β遮断薬
左室肥大
LVEFの低下した心不全
※少量から開始

※少量から開始
頻脈
(非ジヒドロピリジン系)
狭心症
※冠攣縮に注意
心筋梗塞後
蛋白尿
/微量アルブミン尿を有する腎臓病

症状がない場合の選び方

症状による適応がない場合は、ARB、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、利尿剤の中から選択します。

商品名 レニベース・ジェネリック ノルバスク・ジェネリック オルメテック・ジェネリック ブロプレス スピロノラクトン
(アルダクトン)
画像 レニベース・ジェネリック ノルバスクジェネリック オルメテック・ジェネリック ブロプレス スピロノラクトン
価格 150錠:2,250円~ 200錠:4,500円~ 30錠:2,250円~ 30錠:1,800円~ 28錠:2,430円~
種類 ACE阻害薬 カルシウム拮抗薬 ARB ARB 利尿剤
ボタン

ただし、効果が見られない場合には最大量まで増量するか、併用療法をおこないます。

併用療法という方法も

併用療法はⅡ度高血圧やⅢ度高血圧といった、特に血圧が高い方に用いられることが多い治療法です。

Ⅰ度高血圧の方でも、なかなか血圧が下がらない場合は異なる種類の薬を併用することがあります。

※高血圧の基準
・Ⅰ度高血圧:最高血圧140~159、最低血圧90~99
・Ⅱ度高血圧:最高血圧160~179、最低血圧100~109
・Ⅲ度高血圧:最高血圧180以上、最低血圧110以上

併用療法の主な組み合わせは次の通りです。

併用療法の組み合わせ
  • ARB+カルシウム拮抗薬
  • ACE阻害薬+カルシウム拮抗薬
  • ARB+利尿薬
  • ACE阻害薬+利尿薬
  • カルシウム拮抗薬+利尿薬

ARB及びACE阻害薬+カルシウム拮抗薬の併用では、1種類の薬を増量するよりも強い降圧効果が認められており、腎臓の保護効果も大きいとされています。

また、男性や高齢者などにおけるARB+利尿薬の併用は、カルシウム拮抗薬との併用より強い降圧効果があることが分かっています。

これらの併用療法でも効果が見られない場合には、3種類の併用する場合があります。

降圧剤服用時の注意点

降圧剤服用時の注意点
降圧剤は血圧や心臓に作用するため、服用方法を誤ると重大な副作用が現れる場合があります。

次に挙げる注意点に気を付けて服用してください。

使用できない場合もある

持病や体質によっては、使用できない降圧剤や慎重に服用しなければならない種類があります。

特に、妊娠者や心臓・肝臓・腎臓などに疾患がある方は注意が必要です。

禁忌 慎重投与
カルシウム拮抗薬 徐脈
(非ジヒドロピリジン系)
心不全
ARB 妊娠 腎動脈狭窄症
高カリウム血症
ACE阻害薬 妊娠
血管神経性浮腫
アフェレーシス/血液透析
腎動脈狭窄症
高カリウム血症
サイアザイド系
利尿剤
体液中のナトリウム・カリウムが
明らかに減少している状態
痛風
妊娠
耐糖能異常
β遮断薬 喘息
硬度徐脈
未治療の褐色細胞腫
耐糖能異常
閉塞性肺疾患
末梢動脈疾患

1日あたりの最大服用量を超えると危険なため、必ず医師や薬剤師の指導の下服用してください。

グループフルーツはNG

カルシウム拮抗薬は小腸や肝臓で代謝されますが、グレープフルーツに含まれる成分がこの代謝酵素を阻害してしまうため、血圧が下がり過ぎてしまうという危険性があります。

カルシウム拮抗薬を服用している方は、グレープフルーツ(果肉、皮と果肉の間)やグレープフルーツジュースを口にしないよう注意してください。

また、その他にも薬によって飲み合わせの悪い薬や食べ物があるため、必ず服用前に把握しておくことが大切です。

降圧剤に関するよくある質問

降圧剤の服用に関するよくある質問にお答えします。

降圧剤を服用した方が良い血圧値や、効果がない場合の対処法を知りたい方は参考にしてみてください。

降圧剤は血圧値いくつから服用すべき?

成人の血圧値は、最高血圧140以上/最低血圧90以上から高血圧に分類されます。

しかし、生活習慣や食生活の改善でも血圧を下げることはできるため、必ずしも降圧剤を飲まなければならないわけではありません。

慢性的に最高血圧が160を超えている場合は降圧剤の服用が推奨されます。

基準値に達していないが比較的血圧が高いという方は、日常的に運動を取り入れることが大切です。また、カリウムやDHA、EPAを多く含む食べ物を積極的に摂るようにしましょう。

降圧剤が効かない場合はどうする?

現在服用している降圧剤では効果が不十分な場合や、副作用が酷くて服用を中断せざるを得ない場合は、他の種類の降圧剤への変更が推奨されます。

種類を変更すれば作用が異なるため、効果が現れたり副作用が抑えられる可能性があります。

ただし、いずれも自己判断せず、まずは医師に相談しましょう。

降圧剤の服用はやめたほうがいい?

降圧剤を検索すると「降圧剤 飲むな」「降圧剤 やめたほうがいい」というワードが目に入ります。

しかし、高血圧症は心臓や脳の血管の病気を引き起こす可能性があるため、前述した基準値を上回る場合は降圧剤の服用が推奨されます。

高血圧症の治療には時間がかかることから「降圧剤は1度飲むとやめられない」というイメージを持たれがちですが、薬自体に依存性はないため安全に服用可能です。

また、薬の服用と並行して生活習慣の改善に取り組むことで、より早く血圧値を安定させることができるでしょう。

まとめ

降圧剤にはさまざまな種類があり、作用機序や副作用によってご自分に適した薬を選ぶことが大切です。

薬だけに頼るのではなく、小まめな運動や食事でも血圧を下げることができるため、生活習慣の改善にも取り組むことをおすすめします。

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