変異株にも効く?パキロビッドパックの効果や作用機序をご紹介

新型コロナウイルスに関連する記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。
またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。

新型コロナウイルスの飲む治療薬として、2022年2月に承認されたパキロビッドパック。

先駆けて承認されたモルヌピラビル(ラゲブリオ)と類似する薬ですが、重症化を防ぐ効果はより高いとされています。

臨床試験のデータやファイザー社の情報をもとに、その効果をご紹介します。

パキロビッドパックの効果

パキロビッドパックの主な働きは、ウイルスの増殖を抑えて重症化を防ぐというもの。

国内外共同行われた臨床試験では、入院・死亡のリスクを90%近く減少させたというデータが報告されています。

同じコロナ治療薬のモルヌピラビルと比較しても、非常に高い効果であることが分かります。

重症化リスクを防ぐ確率
  • モルヌピラビル:30%
  • パキロビッドパック:89%

それでは臨床試験を参考に詳しいデータを見ていきましょう。

パキロビッドパックの臨床試験

臨床試験は、重症化リスクを持つ18歳以上の感染者2,246人を対象に実施されました。

まずは発症直後の患者に対し、パキロビッドパックとプラセボ、それぞれ服用した場合の重症化リスクを見ていきましょう。

○発症後3日以内に服用した場合の重症化リスク プラセボ服用群:6.5%
パキロビッド服用群:0.7%
※重症化リスク89%減少
○発症後5日以内に服用した場合の重症化リスク プラセボ服用群:6.3%
パキロビッド服用群:0.8%
※重症化リスク88%減少

上記の通り、プラセボ服用群に比べパキロビッドパック服用群では重症化リスクが90%近く下がっています。

その対象を65歳以上の高齢者に絞って分析すると、重症化リスクはプラセボ群と比べて94%減少しています。

○65歳以上の患者の重症化リスク プラセボ服用群:16.3%
パキロビッド服用群:1.1%
※重症化リスク94%減少

さらに、プラセボ服用群では全体で12人死亡例が出たのに対し、パキロビッドパック服用群では死亡例が1例も出なかったことも驚くべき結果です。

まだまだ未知の部分が多いですが、高齢者や持病がある方などには非常に効果のある薬だと言えるでしょう。

変異株にも効果はある?

パキロビッドパックは、新型コロナの変異株であるアルファ株やベータ株をはじめ、オミクロン株など多くの変異株に効果があるとしています。

ニルマトレルビルはSARS-CoV-2臨床分離株(USA-WA1/2020株)及び変異株であるalpha株(B.1.1.7系統)、beta株(B.1.351系統)、gamma株(P.1系統)、delta株(B.1.617.2系統)及びlambda株(C.37系統)に対して同程度の抗ウイルス活性を示し、(中略)変異株であるomicron株(B.1.1.529系統)に対して同程度の抗ウイルス活性を示し、EC50値はそれぞれ38及び23nmol/Lであった(Vero E6-TMPRSS2細胞)。

引用元:パキロビッドパック添付文書

変異株に対する有効性に関しては、現在も研究が進められています。

パキロビッドパックの作用機序

パキロビッドパックの作用機序は、添付文書では以下のように記載されています。

ニルマトレルビルはSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro:3CLプロテアーゼ又はnsp5とも呼ばれる)を阻害し(IC50=19.2nmol/L)、ポリタンパク質の切断を阻止することで、ウイルス複製を抑制する。
リトナビルはニルマトレルビルのCYP3Aによる代謝を阻害し、血漿中濃度を増加させる。

引用元:パキロビッドパック添付文書

非常に難しいので簡単にまとめると、パキロビッドパックの2成分は以下のように作用します。

  • ニルマトレルビル:ウイルスの複製過程を阻害し、ウイルスが増殖しないようにする
  • リトナビル:ニルマトレルビルが体内ですぐ分解されないようにする

この作用により、ウイルスの増殖が阻害され、新型コロナによる諸症状の悪化が防げるというわけです。

パキロビッドパックの副作用は?

効果が高い薬のため、副作用も強く出るのでは?と心配する方もいるかもしれません。

パキロビッドパックの副作用は、味覚障害や下痢、めまいなどの症状が主なものです。

副作用の発現頻度は、多いもので1%~5%程度とそれほど高いものではないため、ご安心ください。

ただし、パキロビッドパックは併用禁忌薬が非常に多い薬のため、万一併用してしまうと副作用が強く出てしまう可能性があります。

安全に服用したい場合は、事前に併用禁忌薬を確認しておき、服用前は必ず医師に常用薬の相談をすることを推奨します。

併用に注意して服用を

発症後3日以内の服用で重症化リスク89%減と、有効性はモルヌピラビルより高いパキロビッドパック。

しかし、薬の併用に気をつけなければいけないため、誰もが安全に服用できる薬とは限りません。

供給もしばらくは安定しないため、不安な場合は海外通販でモルヌピラビルやデキサメタゾンなどの治療薬を入手しておくと良いでしょう。

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