ピルの種類について調べると、「世代」や「相性」といったワードが出てきます。これらの違いは効果や副作用に関わってくるため、ピルを服用する方はきちんと理解しておかなければなりません。
本記事では、ピルの「世代」について解説します。ピルを選ぶ際の参考にしてみてください。
低用量ピルの世代
低用量ピルには黄体ホルモンと卵胞ホルモンが配合されています。「世代」は黄体ホルモンの種類により異なり、その違いによって第1世代~第4世代の4種類に分類されます。
第1世代~第4世代について詳しく見ていきましょう。
第1世代:ノルエチステロン
- シンフェーズ
- フリウェル
- ルナベルLD/ULD
第1世代の低用量ピルに配合されている黄体ホルモンの種類はノルエチステロン(NET)です。
日本国内で初めて製造が承認された低用量ピルが該当します。
ノルエチステロンは子宮内膜が厚くなるのを抑制するため、子宮内膜症の治療に効果があります。
これにより経血量や生理痛の軽減も期待できるため、月経困難症の治療にも使用されるピルです。
ただし、第2~4世代のピルと比較して副作用の不正出血が起こりやすいため、服用する際には注意しましょう。
第2世代:レボノルゲストレル
- トリキュラー
- アンジュ
- ジェミーナ
- ラベルフィーユ
第2世代の低用量ピルに配合されている黄体ホルモンの種類はレボノルゲストレル(LNG)です。
アフターピルにも使用されるホルモンであることから避妊効果が高く、生理周期を安定させる効果もあります。
そのため、生理周期をコントロールしたい方や、不正出血などの副作用を抑えたピルを服用したい方には第2世代がおすすめです。
しかし、他の世代と比較するとニキビの原因となる男性ホルモンの作用が強いため、ニキビなどの肌トラブルの治療にはあまり向いていません。
第3世代:デソゲストレル
- マーベロン
- ファボワール
第3世代の低用量ピルに配合されている黄体ホルモンの種類はデソゲストレル(DSG)です。
ニキビでお悩みの方には第3世代のピルがおすすめです。
ニキビや多毛症は男性ホルモンが影響すると言われていますが、デソゲストレルには、男性ホルモンであるアンドロゲンの作用を抑制する働きがあるため、第3世代のピルはニキビなどの肌トラブルの治療にも役立てられているのです。
ただし、他の世代と比較して重篤な副作用である血栓症が起こりやすいと言われているため、服用する際には身体に異常が見られないか様子を見ましょう。
第4世代:ドロスピレノン
- ヤーズ
- ヤーズフレックス
第4世代の低用量ピルに配合されている黄体ホルモンの種類はドロスピレノンです。
また、もうひとつのホルモンである卵胞ホルモンの含有量が少ないため、超低用量ピルに該当します。
生理痛が緩和されるため月経困難症の治療に使用されることがあります。
また、子宮内膜症の治療にも効果があるとされ、これらの症状に対して処方される場合は保険が適用されます。
第4世代はホルモンの含有量が少ないことから、副作用が出にくいのも特徴のひとつです。副作用を抑えながら月経困難症などの治療を行ないたい方におすすめです。
世代別の違い
世代ごとに使用目的や副作用の発現率に違いがあることが分かりました。では、どの世代のピルがご自分に合っているかの判断材料として、不正出血の起こりやすさやニキビ改善への効果を数値で比較してみましょう。
世代 | プロゲスチン活性 | アンドロゲン活性 |
---|---|---|
第1世代(ノルエチステロン) | 1 | 1 |
第2世代(レボノルゲストレル) | 5.3 | 8.3 |
第3世代(デソゲストレル) | 9 | 3.4 |
第4世代(ドロスピレノン) | 0.6 | 0 |
※数値は第1世代(ノルエチステロン)を1.0としたときの相対的な評価
どの世代の低用量ピルがいいの?
低用量ピルは世代によって効果の現れ方が異なり、副作用の起こりやすさにも差があるため、メリットとデメリットの両面を考えるとどのピルを選べば良いか分からなくなってしまうと思います。
低用量ピルを選ぶ際のポイントは、「どのような目的で使用するのか」です。
実際に服用してみて合わないと感じた場合には、他の世代で同様の効果が得られるピルに変えてみることをおすすめします。
不正出血が気になる方は
低用量ピルの副作用のひとつである不正出血を抑えたいという方は、第2世代の低用量ピルがおすすめです。
他の世代と比較して、不正出血が起こりにくいように開発されています。
ただし、第2世代のピルはニキビなどの肌トラブル改善にはあまり向いていないため、どちらの効果を優先したいかよく考えた上で選びましょう。
肌荒れやニキビを治したい方は
ニキビや肌荒れなどの肌トラブル、多毛症にお悩みの方は第3世代と第4世代がおすすめです。
ニキビなどの原因となるアンドロゲン作用が抑えられているため、改善効果が期待できます。
これらの効果はピルの二次的な効果である副次効果とされています。
月経困難症などの治療や避妊といった主要効果をふまえて、第3世代と第4世代のどちらを使用するか選びましょう。
PMS(月経困難症)にお悩みの方は
PMS(月経困難症)や、PMSがより重症化したPMDD(月経前不快気分障害)の症状にお悩みの方は、第4世代の低用量ピル・超低用量ピルがおすすめです。
第4世代のピルはPMSや子宮内膜症の治療薬として国内外で承認を受けているため、病院で処方してもらう場合は保険が適用されます。
生理前の辛い症状を緩和したい方は、副作用が出にくい第4世代のピルを服用しながら生理と上手に付き合っていきましょう。