プラノバール(中用量ピル)の詳しい効果や飲み方

プラノバールは排卵を止めて子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、生理痛や生理に関する疾患を改善するピルです。

卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合した中用量ピルで、低用量ピルよりも歴史が長く効果は多岐に渡ります。

そんなプラノバールの効果や飲み方を詳しく解説していきます。

プラノバールの効果

卵胞ホルモン「ノルゲストレル」と黄体ホルモン「エチニルエストラジオール」を配合したプラノバールは低用量ピルよりもホルモン量が多く、服用することで女性ホルモンを補うことができます。

それによって以下の効果を得られます。

それぞれの効果を詳しく説明していきます。

機能性子宮出血

機能性子宮出血は、子宮や卵巣、膣などに病的な変化がないのにも関わらず不正出血してしまうことです。

ホルモンバランスが崩れていることで出血が起こることがほとんどですが、稀に血液や肝臓の疾患が原因の場合もあります。

月経困難症

月経困難症は、生理中にお腹が張る、頭痛、下腹部痛、腰痛、疲労、吐き気などで日常生活に支障が出てしまうことです。

国内ではおよそ900万人の月経困難症の患者がいると推計されていますが、実際に治療を行っているのは6%ほどの女性で、ほとんどの方が市販の鎮痛薬を使用して症状を抑えています。

月経困難症の原因は不明なものやストレス、または子宮内膜症や子宮筋腫などの病気を抱えてるなど幅広くあります。

しかし、月経困難症はプラノバールなどの中用量ピルや、低用量ピル、超低用量ピルを使用することで治療が可能です。

月経周期異常(頻発月経・稀発月経)

月経周期異常は、いわゆる生理不順で、通常25~38日周期で来る生理が、この期間に当てはまらないことを言います。

24日以内に生理が来てしまう場合は頻発月経といい、39日以上生理が来ないことを稀発月経と言います。

生理不順の原因は、急激なダイエットやストレスによるホルモンバランスの乱れなどもありますが、子宮や卵巣、甲状腺などの病気が隠れていることもあります。

過多月経

過多月経は、生理中の出血量が多いことです。

ですが、生理中の出血量は人によって異なるため、気づかずに過ごしている女性も多くいます。

まずは自覚症状から過多月経なのかチェックしてみて下さい。

●昼でも夜用のナプキンを使用する日が3日以上ある
●普通のナプキン1枚では、1時間も持たない
●経血にレバーのような大きな固まりが混じっている
●以前よりも経血量が増え、生理日数も長くなった

参考サイト:バイエル社

1つでも当てはまるものがあれば過多月経の可能性があります。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮の内側を覆っている子宮内膜に似た組織が子宮の内腔以外の腹膜や卵巣、卵管、腸などにできてしまう病気です。

20~30代の女性に発症することが多く、生理痛が重くなる、月経時以外の腹痛や腰痛、排便痛、性交痛などの症状が現れます。

放置してしまうと痛みが酷くなり不妊の原因ともなります。

卵巣機能不全

卵巣機能不全は、卵巣が正常に働かなくなることで、卵巣が分泌するホルモンバランスが乱れ、生理周期の異常や排卵障害が引き起こされます。

原因は多岐にありますが、過度なダイエットやストレス、過食や拒食、卵巣がんなどの病気、甲状腺機能異常など
10代~50代の女性と幅広い年代で発症します。

アフターピル

プラノバールはヤッペ法と呼ばれる緊急避妊薬としても使用されています。

避妊に失敗した性行為後72時間以内に服用することで避妊効果を発揮します。
24時間以内であれば77%、48時間以内で36%、72時間以内で31%と服用する時間によって避妊率が異なります。

服用する時間がより早いほうが効果が高まります。

月経移動

旅行やスポーツイベントと生理が被ってしまう場合など、生理の日付をずらしたいときにプラノバールを使用します。

生理を遅らせることも早めることも可能です。

プラノバールの飲み方


プラノバールは得たい効果や治療したい疾患によって飲むタイミングや量が異なるため、処方された病院での指示通り服用しましょう。

ここでは機能性子宮出血、それ以外の婦人科系疾患、生理日の移動、アフターピルとしての服用法に分けて紹介していきます。

機能性子宮出血

機能性子宮出血の場合、

  • 1日1錠を7~10日間連続で服用します。

婦人科系疾患

機能性子宮出血以外の月経困難症や子宮内膜症、月経周期異常、過多月経、卵巣機能不全の場合は、以下の通りです。

  • 1日1錠を生理5日目から約3週間連続服用します。

アフターピル(緊急避妊薬)

プラノバールをアフターピルとして服用する場合は以下の通りです。

  • 性行為後72時間以内に2錠服用し、その12時間後に再度2錠服用します。

月経移動

月経移動のためにプラノバールを服用する場合は、生理を早めたい時と生理を遅らせたい場合とで服用のタイミングが異なります。

また、生理を移動する場合はある程度の準備期間が必要となります。

  • 生理を早める場合
    生理開始した5日目から1日1錠を10~14日間服用します。
    服用を辞めると3~5日後から生理がきます。
  • 生理を遅らせる場合
    生理開始予定日の5~7日前から1日1錠を服用し、生理を遅らせたい日まで服用を続けます。

生理日移動に関してさらに詳しく知りたい方は下記を参考にしてみて下さい。

生理を遅らせるピルはドラッグストアで買える?ずらす方法も詳しく解説
主に避妊や生理痛の軽減などに用いられるピルですが、生理日のコントロールにも使用可能です。ピルを服用することで生理日を早める、あるいは遅らせることができます。この記事ではピルを使った生理のずらし方について詳しく解説します。

プラノバールの飲み合わせの悪い薬


プラノバールに限らず医薬品には飲み合わせの悪い薬や併用して服用するのが禁止されている医薬品があります。

一部とはなりますが、以下がプラノバールとの飲み合わが悪い薬です。

これらの医薬品を服用している方は必ず処方前に医師や薬剤師に相談しましょう。

医薬品名 作用
副腎皮質ホルモン
三環系抗うつ薬
セレギリン塩酸塩
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあります。
リファンピシン
バルビツール酸系製剤
ヒダントイン系製剤
カルバマゼピンなど
プラノバールの効果の減弱化や不正性器出血の発現率が増大するおそれがあります。
テトラサイクリン系抗生物質
ペニシリン系抗生物質
プラノバールの効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがあります。
テルビナフィン塩酸塩 ホルモン配合剤との併用で月経異常が現れたとの報告があります。
血糖降下剤 血糖降下剤の作用が減弱するおそれがあります。
HIVプロテアーゼ阻害剤 薬剤の作用が減弱するおそれやプラノバールの血中濃度が上昇するおそれがあります。
アセトアミノフェン プラノバールの血中濃度が上昇するおそれや、アセトアミノフェンの血中濃度が低下するおそれがある

参考サイト:医療用医薬品 : プラノバール

プラノバールを服用できない方

プラノバールは幅広い効果のある医薬品ですが、以下に該当する方はプラノバールを服用できない、または服用の際には注意が必要な方です。


・子宮筋腫のある方
・乳がん既往歴のある方
・心疾患またはその既往歴のある方
・てんかんの方
・糖尿病患者
・40歳以上の女性
・ポルフィリン症の患者
・高血圧の方
・腎機能・肝機能障害の方
・妊娠または妊娠してる可能性のある方
・授乳中の方

参考サイト:医療用医薬品 : プラノバール

該当する方は必ず服用前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

プラノバールの副作用

プラノバールは様々な女性疾患に効果があり、さらに緊急避妊薬として不妊治療としても使用されているホルモン剤です。

ですが、低用量ピルや超低用量ピルと比較するとホルモン量が多く副作用も強いと言われています。

プラノバールの主な副作用は以下の通りです。

・不正出血
・食欲不振
・吐き気
・頭痛
・眠気
・倦怠感
・血栓症

これらの副作用が報告されています。

特に血栓症に関しては命に関わるような症状も出るため、服用に関しては注意が必要です。

さらに詳しい副作用の発生頻度や血栓症の予防法、プラノバールから他のピルに切り替える方法等は以下の記事を参考にしてください。

プラノバールの副作用発生頻度は?血栓症や対策方法を紹介
プラノバールは月経困難症や月経移動に使用されている中用量ピルですが、ホルモン量が多い分低用量ピルと比べると副作用が出やすいと言われています。気になる血栓症や血栓症予防対策、プラノバールから他のピルに切り替える方法を紹介しています。

プラノバールは幅広い効果のあるホルモン剤


プラノバールは月経トラブルや機能性子宮出血、そして月経移動や、緊急避妊など様々な効果があります。

効果は多岐にありますが、第一選択薬として使用されている疾患もあれば、現在はプラノバール以外の薬を使用して治療を行う疾患もあります。

そのため、まずは婦人科を受診しご自身に合う薬を処方してもらうことが最善です。

また、服用方法に関しても疾患によって異なるため、医師や薬剤師の指導をしっかりと聞き正しい服用方法を守りましょう。

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