男にも更年期障害?!
更年期障害。
年齢を重ねるごとに心身に不調が現れる更年期障害は、長い間女性特有のものだという固定観念がありましたが、実は違うんです。
最近では、世界の北野武監督やテリー伊藤さんなどの芸能人も更年期障害だったことをカミングアウトしていたように、更年期障害は女性だけの病気ではないことが明らかになってきました。
私も男性に更年期障害はないと思っていたので、「うそだー」というのが率直な感想でした。
女性だけでなく、男性にも襲いかかる更年期障害。
今回は、男性の更年期障害について取り上げてみたいと思います。
男性の更年期障害とは
男性の更年期は、アンドロゲンという男性ホルモンが加齢によって不足してしまうことによって起こるものです。
ADAM(アダム)とも呼ばれており、英語の頭文字”Androgen Deficiency in the Aging Male”から来ている呼び名です。
個人差はあるものの一般的には40歳以降に起こるといわれており、この年齢はちょうど男性ホルモンの低下が始まる時期と重なっています。
男性ホルモンは全身に働きかけ、骨や筋肉を丈夫にする・正常な性機能を保つなどの働き、理解力・判断力の認知機能を高める役目を果たしていますが、この男性ホルモンが一旦低下してしまうと様々なな弊害が出てきてしまうのです。
更年期障害に深く関わりがあるといわれているのは、テストステロンという男性ホルモンです。
このテストステロンは、脳からの命令を受けて精巣で生成され血液中に分泌していきます。
男性の更年期障害ってどんな症状?
男性が更年期障害になると、起きる症状として以下のものがあります。
体の症状
- 疲れやすい
- 筋肉痛
- 関節痛
- ほてり
- 発汗
- 頻尿
- 肥満
- 性機能の低下(ED)
心の症状
- 眠れない
- イライラ
- 意欲や興味の低下
- 憂鬱
- 不安感
閉経と共に女性ホルモンエストロゲンが急速に減少する女性の更年期障害の即効性に比べ、男性の更年期障害は比較的ゆっくりと進行していき、気づいたら上記のような症状が複合的に起こり、「おかしいな?」と感じてわかることが多いといわれています。
また、男性が更年期障害を発症すると、性機能関連の障害のEDも併発するといわれます。
脳からの指令を受けて性巣で生成され血液中に分泌したテストステロンの低下が血管の健康も損ない、勃起に影響を与える動脈硬化を引き起こしてEDになりやすくなると考えられています。
男性の更年期障害の診断基準は?
男性の更年期障害を疑う場合は、泌尿器科を受診することになるのですが、最近はメンズヘルス外来や男性更年期外来という専門的な外来を設けている医療機関もあるということなので、男性のみなさんにとっては頼もしいですね。
そして、更年期障害かどうかを判定するには、問診や血液検査を行います。
問診では、心身の具体的な移り変わりや性機能が低下していないかなどを聞き取ります。
血液検査では、十分な男性ホルモンの分泌があるかどうかを調べます。
フリーテストステロン値が8.5pg/ml未満となり、体と心の症状が強く出ている場合は、男性更年期障害と判定されます。
生活環境を見直して男性ホルモン減少を抑える
男性が更年期障害と判定された時に先ず行うことは、生活環境の見直しです。
その見直しには4つのポイントがあります。
①しっかりとした睡眠を取る |
しっかりと睡眠を取ることにより男性ホルモンの減少を食い止めることができます。 男性ホルモンは朝上昇し、夕方に低下するという性格を持っています。 なぜかというと、男性ホルモンは眠っている間に分泌される特徴を持っているためです。 不眠などでしっかりと睡眠を取ることができなくなると男性ホルモンの値が低いままになり、ホルモンが減り続けてしまいますので、睡眠はしっかり。 |
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②運動をする |
男性ホルモンは、運動で体の筋肉に刺激を与えてあげることにより多く分泌されることがわかっています。
普段の生活でエレベーターは使わずに階段の上り下りをしたり、腕立てや腹筋、スクワットなどの筋トレ、通勤の際はちょっと息切れするくらいの速さで歩くなどの運動を毎日継続して10分ほど行うことが大事です。 |
③ストレスを溜め込まない |
男性ホルモンは過剰にストレスが掛かってしまうと、精巣でのホルモンを作り出す機能が落ち込んでしまうため、ストレスを溜めないようにしましょう。 毎日家でお風呂にゆっくり入ったり、自分が好きな趣味を楽しんだり、休みの日には普段と違う自然豊かな所に出掛けたりするなどの自分なりのストレスの解消法を作っていきましょう。 |
④人と競争する | ゴルフなどの仲間と競争できるスポーツをしたり、対戦型のテレビゲームなど仲間と競争することで、男性ホルモンが多く分泌されることになり、ホルモンの減少を食い止めることができます。 |
症状が重い場合はホルモン補充療法を
更年期障害で男性ホルモンの値が目立って低下してしまい症状が重い時は、男性ホルモンの補充療法を取ります。
その男性ホルモンの補充療法ですが、2~4週間に1回テストステロン製剤の注射を腕やお尻に注射することになります。
この療法で心配されることは、テストステロンを注射をすることにより精子を作り出す機能が抑えられるので男性不妊を起こしてしまうということです。
ですので、将来お子さんを予定されている男性はhcgホルモンを週に1回~2回注射することによりテストステロンの分泌を促します。
男性ホルモンを注射で補充して効果を見る期間ですが、3カ月程度です。
効果が現れた場合には、目安を1年として対症療法を継続していきます。
一般的に6割ほどの患者様で効果が現れます。
※肝臓病や前立腺がんの患者様は治療を受けることはできません。
男性ホルモンが、肝臓に負担を掛けたり、前立腺がんを進行させてしまう可能性があるためです。
もし、効果が現れない場合は、うつ病や不安症など他の病気の疑いがあります。
その場合は、精神科などを受診しての治療が検討されることもあります。
これらの症状がある場合は、抗うつ薬や抗不安薬などを服用する場合があります。
また、男性ホルモンが低下することによって骨が弱くなってくるので、骨粗しょう症を使用することもあります。
性欲の低下や勃起力の低下などの性機能に関係する症状がみられる場合は、ED治療薬が処方される場合もあります。
ED治療薬のおかげで伴侶との性生活も改善されイライラや不眠などの症状の解消につながったという例もあるようです。
ちなみに男性ホルモンの値が低くないなど、症状が軽い方には漢方薬を使った治療がなされます。
まとめ
今回は、男性の更年期障害について見てきました。
男性の更年期障害は40代から始まるといいますが、40代はひと昔前までは不惑の40代といわれていました。
数十年前に40歳でホームラン王を取ったプロ野球選手が、不惑の!といわれていた時には、私も「40代は人生が花開くいい年齢なんだな。」なんて思っておりましたが、全く違った。
今では、迷ってばかりの40代です。
…失礼しました。
兎に角、男性にも更年期障害があるとお分かりになりましたでしょうか?
もし、おかしいな?と思ったら、医師に相談して適切な方法で治療しましょう。
更新日時:2018年12月28日