30代以上の女性に発症する関節リュウマチ 早期発見と早期治療法

その関節の痛みは、実は関節リュウマチかも

「歯ブラシがうまく持てない。」
「リモコンが押しにくい。」
「鍵が締めづらい。」

朝、突然手のこわばりが起こったように感じられて、昨日までしていた普通の動作がうまくできなくなってしまった。。
どうしてだろう?

原因不明の手のこわばりが30分以上続く様なら、それは関節リュウマチの症状かもしれません。

今回のコラムでは、関節リュウマチについて取り上げてみたいと思います。

関節リュウマチとは

関節リュウマチとは、関節に炎症が起きて骨や軟骨の関節機能が失われ、そのままの状態で放置してしまうと関節が変形してしまう病気です。

特徴的なのは、関節を動かしていないでも痛みがあるという所です。

主に左右の手足の関節で同時に激しい痛みや腫れの症状を伴うのが特徴で、関節を動かしていない時でも激しい痛みがあります。
その他、疲れやすい・発熱・食欲不振などの全身症状があり、血管や肺などに関節の炎症が広がることもあります。

家事や仕事、日常生活にも影響が出てしまい、酷い場合には介助が必要になるほどの重い状態に陥ることもあります。

日本での患者数は、60~100万人(人口の0.6%~1.0%)といわれています。
その発症年齢は、30歳から50歳の女性に多いとされており、60歳以降で発症してしまう方も少なからずいらっしゃいます。
(男女の割合でいうと女性4に対して男性は1です。)

関節リュウマチが起きるのはどんな時?

関節リュウマチの症状が出やすいのは、朝起きてから30分以内です。

日中帯や夜には症状が落ち着くので、初期症状としての関節リュウマチを発見するには、朝食の準備や朝の用意をしている時といえます。

朝起きてから30分以内に関節リュウマチの症状が見られるならば、リュウマチ専門医に相談してみることをお薦めします。

関節リュウマチの原因は?

関節リュウマチは、免疫に異常が発生し自分自身の体内の組織が破壊されることで起きます。

免疫は、体内に侵入しようとする外部からのウイルスや細菌を防御して取り除く働きをしていますが、免疫に異常が発生すると、自分自身の細胞や組織を誤って攻撃してしまいます。

そのことで炎症を引き起こし、関節の痛みや腫れの症状となって身体の外に現れるのです。
更にはその炎症が、骨膜という関節の周りを取り囲む膜に腫れを起こし、炎症のさらなる悪化を引き起こし軟骨や骨を破壊します。

体内で炎症が生じるのは何故かというと、過剰にサイトカインという物質が分泌され関節の炎症を悪化させるためです。
このサイトカインには、TNFα(ティーエヌエフ・α)やIL-6(インターロイキン)などの種類があります。

早期発見と早期治療のために何科を受診する?

関節リュウマチは、関節の破壊が急激なスピードで進行する(発症してから1年以内)病気なので、早期発見・早期治療が大変重要となります。

関節リュウマチは、正確な診断を下すのが非常に難しい病気です。
ですので、研究動向に詳しく経験が豊富なリウマチ専門医で診断を受けることが望ましいといえます。
(リウマチ専門医は、リウマチ専門医・指導医という日本リュウマチ学会が認定する資格やリウマチ登録医という日本リウマチ財団が認定する資格を保有しています。)

専門医はリウマチ科に限らず整形外科や内科に在籍していることもあるので、ご自身で詳しい情報を調べることをお薦めします。

ステージ毎の関節リュウマチの進行具合

関節リュウマチと医師が判断するには、4段階のステージの分類があります。

ステージ1 初期段階
エックス線検査をして軟骨や骨に破壊症状がない状態です。
日常生活では、健康な方と変わらずに普通の生活を送れます。
ステージ2 中等期
軟骨の状態が薄くなって、関節の間の隙間が狭くなっているものの骨に破壊症状がない状態です。
日常生活を行うには多少の不便はあるけれども普通の生活を送れます。
ステージ3 高度進行期
軟骨や骨に破壊症状がある状態です。
何とか身の回りのことが出来るけれども、外出する際には介助が必要となります。
ステージ4 末期
関節破壊の症状がみられ、動かない状態です。
身の回りのことが殆ど自分で出来なくなり、車いす生活かほとんど寝たきりとなります。

診断方法と検査および治療法

関節リュウマチは、他のリウマチの症状と似ている所があるため、判定を下すのが容易ではありません。

その検査法ですが、問診や診察、採決による血液検査などに基づき行うことになります。
検査の時間はそれほどかかるものではないのですが、リウマチと完全に判定されるまでに時間を要することがあります。

最近海外では、関節リウマチを早期発見するための新基準が発表され、関節に1か所でも腫れがみられて、画像による診断で炎症による骨病変である骨びらんが確認できた時には、関節リュウマチと診断されるようになりました。

関節リュウマチの治療には、一つの目標があります。
リウマチの症状や兆候がほぼ消滅し、病気がコントロールされている寛解の状態です。

  • 臨床的に関節の腫れや痛みをとること
  • 構造的に関節や骨の破壊が進行することを抑えることli>
  • 機能的に生活ができるように改善すること

の3つの方法で寛解を目指します。

具体的な治療方法としては、

薬物療法 関節の痛みや腫れを抑えて関節が破壊されないように進行を抑えます。
リハビリテーション 患部を温め、こわばりや痛みを和らげる温熱療法
血行をよくして血液の循環を促し、筋肉のこわばりや痛みを取るための運動療法
を行います。
手術療法 人口の関節を破壊された関節と取り換える機能再建術
関節の骨膜が増殖してしまったのを取り除く骨膜切除術
を行います。

関節リュウマチの症状を和らげよう

関節リュウマチに罹ってしまった方は、普段の生活で関節への負担を減らすことができます。

椅子から立ち上がる時は、手のひらから前の腕全体を使ってご自身の体重を支えるように立ち上がるようにしたり、携帯の操作は片手でなく両手で持って行うことで手首の関節に負荷をなるべくかけないようにしたりというように気を付けることで関節への負荷を和らげることができます。

もし、関節の腫れがなく熱を帯びていない状態ならば、運動をお薦めします。
家事をしたり軽く歩くだけでもいいですし、水中ウォーキングなど関節に負荷が掛からない全身運動をすれば関節リウマチのリハビリにもなります。

リュウマチの方が摂るとよい食事

関節リュウマチに罹ると、あまりにも痛みが強いために食欲がなくなってしまい、体重減が顕著な方が多くいらっしゃるようです。

そして、炎症性サイトカインという炎症物質のために体内で作られるタンパク質が分解されやすくなり、筋肉量の減少が特に顕著となります。
このような状態になると、肺炎などの合併症を誘発し症状がさらに重くなりかねません。

関節リュウマチに罹ってしまった方が、体力と筋肉量を維持して合併症を寄せ付けないようにするには、どのような食事をすればよいのでしょうか?

その食材を紹介したいと思います。

オメガ3脂肪酸 サンマやさば、イワシなどの青魚にはオメガ3脂肪酸が多く含まれており、関節の炎症を抑える効果がありますので、積極的に摂るようにしましょう。
カルシウムやビタミンD 関節リュウマチの患者さんは運動不足や長期間のステロイド使用で、骨粗鬆症に罹りやすくなっていますのでカルシウムやビタミンDを摂るようにしましょう。
カルシウムはチーズや牛乳などの乳製品やホウレン草などの緑黄色野菜、ひじきなどの海藻類や小魚から、ビタミンDはきのこ類やサケなどの魚から摂るようにしましょう。
※オメガ3脂肪酸が含まれるサンマやイワシにもビタミンDが多く含まれています。
葉酸 ブロッコリー、ホウレン草、アスパラガス、春菊などの野菜、納豆や枝豆などの豆類、レバーなどには葉酸が多く含まれています。

栄養補助食品やサプリメント、青汁には葉酸が多く含まれている商品があるものの、抗リュウマチ剤として服用するMTXと併せて飲む適量の葉酸薬と共に摂ると、葉酸の過剰摂取となりMTXの効果が落ちてしまうので、食べ物から摂りましょう。
葉酸は食べ物から摂れば、薬の量よりはるかに少ないので過剰摂取にならずに済みます。

おわりに

今回は、関節リュウマチについて取り上げてみました。

関節リュウマチはまだまだ、原因がよくわかっていないところがある病気ですが、早期発見、早期治療をすれば症状の悪化を防ぐ事ができます。

もし、関節のこわばりがみられるような方は、すぐにリュウマチの専門医にご相談ください。

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