現在日本でも約1,000万人の方がED患者であると推測されており、男性不妊の原因ともなる勃起障害。
不妊の原因は男性側に33%あるとされており、勃起不全による男性不妊は6%ほどと言われています。
ですが、2022年4月からバイアグラなどのED治療薬が保険適用となり、不妊に悩むカップルにも身近な薬となりつつあります。
- 保険適用を受ける条件
- 保険適用のためには何科に行けば良い?
- 保険適用後のバイアグラの価格
- 勃起不全による男性不妊の診断方法
など気になる点を徹底解説していきます。
2022年4月からバイアグラなどのED治療薬に保険適用が決定
2022年4月から、バイアグラとバイアグラODフィルム(各25mg、50mg)及びシアリス(5mg、10mg、20mg)に対する保険適用が開始されました。
これは人工授精や体外受精、顕微授精などの不妊治療に対する保険適用と同じタイミングで、国の少子化対策の一環としてようやく実現したものです。
しかし当然、単にEDを治したいという理由では保険適用にはなりません。
不妊の主な原因が男性不妊によるもので、さらにその男性不妊の原因がEDにあると医師に認められた場合のみが対象となります。
保険適用でバイアグラを処方してもらうためには、まず泌尿器科の医師による診察が必須です。
レビトラは保険適用される?
不妊治療における保険適用が決定されたのは、バイアグラとシアリスのみです。
レビトラは引き続き保険適用対象外となるため、今後も自費で購入するしかありません。
またレビトラは安定供給の目処が立たないことを理由に、2021年10月正式に販売中止が決定されました。
今回保険適用の対象外とされたのも、それが主な理由となっています。
今後レビトラの購入に関しては自費で、なおかつ最終的には全てレビトラジェネリックに切り替わっていくことが予想されます。
バイアグラに保険が適用されるための条件
バイアグラとシアリスが保険適用の対象となるための条件は、全部で7つあります。
- 処方する医師が泌尿器科において5年以上の診察経験があること
- 他の病院やクリニックからの紹介で処方する場合は、不妊治療に関する情報共有を行うこと
- 処方はガイドラインに基づき勃起不全だと診断された人を対象とすること
- 6ヶ月以内に不妊治療、または生殖補助医療の診察を受けていること※
- 1回の診察につきタイミング法1周期分、かつ4錠以下にすること
- 継続期間は6ヶ月間を目安、継続する場合は原則1年以内
- 処方箋に保険診療である旨を記載すること
※一般不妊管理料と生殖補助医療管理料に係る医学的管理というのは、タイミング法の指導や人工授精、体外受精、顕微授精などの不妊治療のことを指します。
参考サイト:不妊治療で使用される医薬品の保険給付上の取扱いについて
バイアグラ保険適用のハードルは高い
バイアグラやシアリスのようなED治療薬に保険を適用してもらうためには、まず医師の診察を受け「EDによる男性不妊である」という診断を受ける必要があります。
またバイアグラが保険適用になるための7つの条件を見ても分かるように、EDによる男性不妊である診断を受けた上でこれらを全てクリアするのは、非常にハードルが高いと言えるでしょう。
保険適用対象としてのバイアグラやシアリスは、あくまで男性不妊の治療手段の一つという解釈です。
不妊治療としてのバイアグラ処方の必要性に乏しい方や、前述した条件に当てはまらない方は、これまで同様全額自己負担でバイアグラ及びシアリスを購入するようにしましょう。
バイアグラ保険適用時の薬価はいくら?
バイアグラとシアリスの保険適用に伴い、それぞれの薬価が2022年4月より新たに決定されています。
○バイアグラ | 25mg錠:959.60円 50mg錠:1,380円 |
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○シアリス | 10mg錠:1,454.60円 20mg錠:1,529.90円 |
保険が適用される医薬品の価格は全て国が決めているため、男性不妊において処方される保険適用時のバイアグラ及びシアリスの薬価は一律この収載薬価になります。
これまで自由診療で処方されていたバイアグラとシアリスの価格相場と比べると、それぞれおよそ相場の底値が今回の収載薬価となっていると言えるでしょう。
なぜバイアグラに保険適用が決定されたのか
バイアグラの処方に保険が適用された背景には、日本生殖医学会が定める不妊治療や検査、投薬に関する推奨度を評価したガイドラインがあります。
そのガイドラインによると、「勃起障害を伴う男性不妊への薬物治療」は治療の推奨度Aと設定されており、バイアグラによるED治療が不妊治療にとって医学的に意義があることの裏付けであると言えるでしょう。
また今回保険の適用が実施されたのは、推奨度AであるバイアグラやシアリスのようなED治療薬の処方だけでなく、推奨度A、Bに該当する治療技術も含まれます。
具体的には、体外受精や顕微授精、それに伴う採精やTESE(無精子症における精巣内精子採取)などです。
ED治療したい場合に保険適用される?
今回のバイアグラへの保険適用の主旨は、「EDの治療」ではなく「EDを原因とする男性不妊の治療」です。
目的がEDの治療である場合は、例え医師の診察を受けて処方されるとしても、自由診療扱いになり全額自己負担となります。
これまで、EDの治療のためバイアグラやシアリスを服用してきた方はこの点に注意が必要で、病院やクリニックで処方されるバイアグラやシアリスが、全て保険適用になるわけではないということをきちんと理解しておく必要があります。
虚偽申告は×
保険を適用して3割負担だけでバイアグラを入手したいからといって、事実と異なる申告をしてバイアグラの処方を受けることはやめましょう。
不妊治療目的であると嘘をついて保険適用でバイアグラを処方してもらうことには、主に二つのリスクがあります。
・医療費の返還義務
まず一つ目は、健康保険組合から年一回送付される「医療費のお知らせ」の記載によって、バイアグラの処方を受けたことが家族にばれてしまう可能性がある点です。
そして二つ目は、健康保険証を不正に使用したとして医療費の返還義務が生じます。
バイアグラの使用目的が不妊治療ではなくEDの治療である場合は、きちんとその目的を正確に申告し、自己負担で処方してもらうようにしましょう。
保険適用外で費用を抑えるなら海外通販
保険適用外でバイアグラやシアリスを購入する場合、コストパフォーマンスにおいては海外通販が圧倒的におすすめです。
海外通販 | 保険適用 | 全額自己負担 | |
---|---|---|---|
バイアグラ | 1,200円 | 約400円 | 1,500~2,000円 |
シアリス | 1,417円 | 約450円 | 1,700~2,000円 |
バイアグラジェネリック | 107円~ | - | 1,000~1,400円 |
シアリスジェネリック | 180円~ | - | 1,400~1,600円 |
バイアグラとシアリスの保険適用においてかかる費用は、実際にはこれらの価格に調剤技術料や薬学管理料などが上乗せされた合計金額の三割です。
つまり単純に収載薬価の30%になるわけではなく、さらに薬局に支払うこれらの費用以外に病院での診察料や検査料などもコストとしてかかります。
保険が適用され3割負担になった場合と比べても、海外製ジェネリックの取り扱いも豊富な海外通販の方が、より全体の費用を抑えてバイアグラやシアリスを購入することが可能です。
バイアグラ保険適用についてよくあるQ&A
バイアグラの保険適用についてよくある疑問をピックアップ、解説していきます。
保険適用でのバイアグラ処方を予定している方は、参考にしてください。
男性不妊の原因がEDにあるということの判断は、基本的には問診のみによって下されます。
多くの病院やクリニックにおいてEDの診断に使用されているのが、国際勃起機能スコア(IIEF5)と呼ばれるチェックツールです。
主に勃起の維持に関する5つの質問に対して5~6段階の答えの中から該当するものを選択し、合計スコアが21点以下であればEDの疑いがあるとされます。
ホルモン検査などを行うクリニックも一部に存在しますが、ほとんどは患者の自己申告でEDかどうかの診断がなされるのが普通です。
しかし問診のみによるEDの診断は、ED治療目的の人が虚偽申告で保険適用を受けるリスクが伴います。
今後、一定の診断基準が新たに設けられる可能性は大いにあると言えるでしょう。
バイアグラ及びシアリスの保険適用に際して、処方される方が既婚である必要はありません。
そのため事実婚や未婚のカップルであっても、不妊治療のためED治療薬の処方が必要であると判断され、所定の7つの条件を満たしてさえいれば、保険適用でバイアグラの処方が受けられます。
男性の不妊治療に関しては、女性の不妊治療のような年齢による制限はありません。
そのためEDによる男性不妊であることが診断されれば、男性側の年齢に関係なく保険適用でバイアグラの処方を受けることが可能です。
ただし、保険適用によるバイアグラの処方は6ヶ月間が目安とされており、継続の必要性が認められそれを超える場合でも、原則として初回の処方から1年以内とされています。
保険適用によるバイアグラの処方は、最長でも1年間の期間限定だという点には注意しましょう。
バイアグラは不妊治療のみ保険適用
バイアグラの保険適用は、EDを原因とする男性不妊の治療が目的の場合に限られます。
またその上で、保険の適用を受けるために満たしていなければならない条件も存在し、決して手軽に誰でも保険適用の対象になれるというわけではありません。
さらに保険適用であれば自己負担が三割だけになるとは言え、処方、調剤のためにかかる費用や病院での診察料などが加算されます。
全体のコストの点では、ジェネリックを含めた海外通販での購入がよりおすすめです。