新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。
またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。
デキサメタゾンはステロイド薬の一種で、国内では古くから使用されています。
アレルギー性、炎症性、免疫系など幅広く使用されており、特にひどいアレルギー症状や、関節リウマチ、喘息、ネフローゼ症候群などの病気に使用されています。
そんなデキサメタゾンですが、5月に特例で承認された「レムデシビル」に引き続き、国内で2番目に正式なコロナ治療薬として承認されました。
このページでは、コロナ治療薬として承認されたデキサメタゾンを紹介しています。
- 国内で2番目にコロナ治療薬として承認された薬
- 炎症を沈めたり、免疫系の症状を抑えるステロイド薬
- コロナ中等症Ⅱ・重症患者への死亡率低下・予後改善効果がある
- 軽症者が服用した場合、肺炎が悪化する場合もある
コロナ治療薬として承認
デキサメタゾンは、2020年7月17日に国内で新型コロナウイルス治療薬として承認を受けました。
新型コロナウイルスの治療薬として承認されたものは、2020年5月に承認されたレムデシビルに続いて2番目となります。
承認された主な要因として上げられるのは、英国の臨床試験で行われた試験においてデキサメタゾンを用いた治療で患者の死亡率を低下させる効果があったことや、新型コロナウイルス感染症による肺炎などの炎症にも効果があると認められたことからです。
デキサメタゾンのような副腎皮質ステロイド薬は、錠剤として服用する場合肺組織の炎症に対して保護的に働く可能性があります。
コロナ治療薬-デキサメタゾンの臨床試験結果
国内外で行われたデキサメタゾンの臨床試験の結果を紹介していきます。
国内での臨床試験
国内ではデキサメタゾンを使用した臨床試験の報告はありませんがデキサメタゾンと似たプレドニゾロンなどのステロイド薬を使用した臨床試験の症例報告はあります。
名古屋大学を中心にして行われた臨床試験では、肺炎と低酸素血症の症状がある患者に対するファビピラビルとメチルプレドニゾロンの併用療法では、参加者69名のうち14日以内の人工呼吸または、これに相当する呼吸状態の悪化が29.2%に見られた。
海外での臨床試験
海外での臨床試験では、デキサメタゾンを服用した患者は、標準治療を受けた患者と比較すると死亡率が低下したとの報告があります。
英オックスフォード大学が6月に発表した研究では、デキサメタゾンを投与したことにより人工呼吸器が必要な患者の死亡率が約40%から約29%に低下したとされています。
また、酸素吸入が必要な患者の死亡率も下がったとされています。
しかし、酸素の投与が不要な軽症患者への効果は認められませんでした。
コロナ治療にデキサメタゾンが使用される状況
デキサメタゾンが新型コロナウイルス治療薬に承認されて以降、医療機関では入院患者に対して、デキサメタゾンとレムでシビルを併用した治療が積極的に行われています。
ですが、自宅療養中の方にデキサメタゾンを支給するなどの措置は行われていません。
その理由について説明していきます。
中等症Ⅱ・重症者にのみ効果的
デキサメタゾンは、中等症Ⅱ、そして重症患者にのみ効果的な治療薬です。
新型コロナウイルスの重症度は、以下のように分布されています。
出典:新型コロナウイルス感染症-診療の手引第5版
新型コロナウイルスは、医療機関が逼迫していない状況であれば、中等症Ⅰの症状の段階で入院が必要となります。
中等症の場合は、すでに肺に炎症を起こしている状態となり、デキサメタゾンの炎症抑制効果が発揮されます。
服用のタイミングが大切
デキサメタゾンは中等症Ⅱや重症患者に対して、肺障害や、多臓器不全をもたらす全身性の炎症を予防し、または抑制する可能性があります。
つまりデキサメタゾンは抗炎症治療として使用されているのです。
新型コロナ感染後すぐにステロイド薬であるデキサメタゾンを使用したり、抗ウイルス薬よりも先にデキサメタゾンを服用した患者は、他の患者よりも急速に肺炎が悪化する場合があるようです。
そのため、デキサメタゾンは服用するタイミングが大切です。
服用の際は必ず医師の指示従って下さい。
デキサメタゾンが供給不足
デキサメタゾンは様々な病気や症状に利用されているステロイド薬で、国内では保険適用されており、ジェネリック医薬品も販売されている比較的低価格で入手しやすい医薬品です。
ですが、新型コロナウイルスの治療薬として承認を受けて以降品薄状態となっております。
デキサメタゾンは、海外から取り寄せることも可能なため、個人輸入を利用すれば手に入れることもできます。