新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。
またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。
富士フイルム富山化学が製造販売を行っているアビガン。
元々は抗インフルエンザ薬として開発・承認されていますが、新型コロナウイルス治療への効果が期待されている為、富士フイルム富山化学が2回目のアビガンの治験を進めているようです。
この記事では、アビガン(ファビピラビル)の治験情報をまとめています。
アビガンの治験について
2021年10月現在、アビガンは以下2つの治験が行われています。
- 抗インフルエンザ薬
- 新型コロナウイルス治療薬(2回目)
元々は抗インフルエンザ薬として承認されているため、現在進行系で進んでいる治験は「新型コロナウイルス治療薬」のみです。
アビガンの治験でどのような結果が報告されているのか、簡単に紹介していきます。
抗インフルエンザ薬としての治験結果
A型またはB型インフルエンザウイルスに対し、アビガンの有効性は完全に認められなかったようです。
しかし、既存のインフルエンザ薬とは異なる作用機序を有しており、新型インフルエンザへの有効性が期待できるという結論に至っています。
上記の事から、アビガンを使用する判断基準が難しいため、国が判断した場合のみ使用されるようです。
他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される
引用元:医療用医薬品 : アビガン
副作用の発生率は約20%
501人を対象に治験を行った結果、副作用は100例(19.96%)も認められたようです。
副作用発生率が約20%もある医薬品は、服用リスクが高いと言わざるを得ません。
- 血中尿酸増加:24例(4.79%)
- 下痢:24例(4.79%)
- 好中球数減少:9例(1.80%)
- AST(GOT)増加:9例(1.80%)
- ALT(GPT)増加」8例(1.60%)
その他副作用の発生率は、以下の表を参考にしてください。
1%以上 | 0.5~ 1%未満 |
0.5%未満 | |
---|---|---|---|
過敏症 | 発疹 | 湿疹 そう痒症 |
|
肝臓 | AST(GOT)増加 ALT(GPT)増加 γ-GTP増加 |
血中ALP増加 血中ビリルビン増加 |
|
消化器 | 下痢 | 悪心 嘔吐 腹痛 |
腹部不快感 十二指腸潰瘍 血便排泄 胃炎 |
血液 | 好中球数減少 白血球数減少 |
白血球数増加 網状赤血球数減少 単球数増加 |
|
代謝異常 | 血中尿酸増加 血中トリグリセリド増加 |
尿中ブドウ糖陽性 | 血中カリウム減少 |
呼吸器 | 喘息 口腔咽頭痛 鼻炎 鼻咽頭炎 |
||
その他 | 色素沈着 味覚異常 霧視 眼痛 など |
重大な副作用も報告されている
上記のような副作用だけではなく、以下のような重大な副作用も報告されています。
- アナフィラキシーショック
- 肺炎
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群
- 急性腎障害
- 白血球減少、好中球減少、血小板減少
- 意識障害、譫妄、幻覚、妄想、痙攣
- 出血性大腸炎
因果関係は不明ですが、異常行動(急に走る、徘徊する等)なども報告されています。
また、動物実験において「催奇形性」が認められている為、妊婦や妊娠している可能性がある方へのアビガン投与は、原則として禁止されています。
新型コロナウイルス治療薬としての治験結果
2020年10月、富士フイルム富山化学は1回目の治験結果を元に、アビガンを新型コロナウイルス治療薬として承認申請を行っています。
しかし、有効性や安全性を明確に判断する事が困難とされ、厚生労働省はアビガンを新型コロナウイルス治療薬として承認しませんでした。
2021年10月現在、新型コロナウイルス治療薬として、アビガンの治験は引き続き進められています。
現在進行系で進んでいるため、国内での治験結果はまだ公開されていませんでした。
海外での治験結果
サウジアラビアやクウェート、アメリカなど世界各国でファビピラビルの治験が進められているようですが、国内と同様に治験結果を大々的には公開していないようです。
「発熱と咳が減少した」や「ウイルス量が減少した」などのデータはあるようですが、サンプル数が少なく偏った試験が行われた可能性が高いと言われています。
従って、現在公開されているアビガンの治験データは、鵜呑みせず様子を見た方が良いかもしれません。
国はアビガンの治験を推奨しているが、承認されない可能性もある
厚生労働省がアビガンの治験に対し、14億円の補助金を支援する事が決まりました。
厚生労働省は13日までに、新型コロナウイルス治療薬候補の「アビガン」について、実用化を支援するために14億7400万円を補助すると決めた。臨床試験(治験)に関する経費を下支えし、早期の実用化を促す
引用元:北日本新聞
新型コロナウイルス治療薬としての承認は一旦見送られていますが、「14億円の補助金を出す=国からの期待度が高い」と考えられるため、国は積極的にアビガンを利用したいと考えているのでしょう。
しかし、以下の理由から、アビガンが承認されない可能性も考えられます。
- 服用リスクが高く有効性が不透明
- アビガン以外の薬がどんどん開発されている
あくまでも推測にすぎませんが、上記について簡単に解説していきます。
服用リスクが高く有効性が不透明
以下の理由から、アビガンは服用リスクが高い傾向にあります。
- 副作用発生率が20%もある
- 重篤な副作用の報告が多い
- 治験期間は長いが一向に承認されない
副作用に関する報告はもちろんの事、治験期間が長いにも関わらず、一向に承認されない点に不信感を覚える方も多いようです。
現にデキサメタゾンなど他の治療薬は、比較的早い段階で承認されています。
全体的に問題点が多いと言えるので、アビガンは新型コロナウイルス治療薬として承認される可能性が低いかもしれません。
アビガン以外の薬がどんどん開発されている
2021年10月現在、承認されている新型コロナウイルス治療薬は5種類あります。
- レムデシビル
- デキサメタゾン
- バリシチニブ
- カシリビマブ/イムデビマブ
- ソトロビマブ
上記5種類の治療薬が承認され既に利用されている為、アビガンを使用する機会が少なくなると推測できます。
また、ワクチンを接種した方も徐々に増えており、感染者数も右肩下がりで新型コロナウイルスは終息に向かっています。
従って、アビガンの需要が増える事はなく、このまま承認されない可能性が少なからずあるでしょう。
アビガンは治験中につき安易な服用は危険
アビガンはまだ治験の段階で、新型コロナウイルス治療薬として承認されたわけではありません。
また、観察研究扱いとなるため、病院で診察を受けたとしても、アビガンを処方してもらえません。
検査結果などデータを提出してもらい、治療効果などを観察する行為
現状だとアビガンは、「軽症患者」に推奨される傾向があります。