新型コロナウイルスの治療薬など関連情報まとめ

新型コロナウイルスに関連する記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。
またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。

新型コロナウイルスの治療薬や関連する情報

当ページでは新型コロナウイルスの治療薬や、関連する情報についてまとめています。
ニュース記事等を紹介していますが、日々新しい情報が更新されるため、最新情報は以下の厚生労働省のサイトよりご確認ください。

新型コロナウイルス(SARS-CoV2)とは?

遺伝情報としてRNAをもつRNAウイルスの一種です。

粘膜など人の細胞に付着し入り込むことで増殖します。

反面、粘膜には入り込めますが健康な皮膚には入り込めず付着するだけにとどまります。

表面についたウィルスは時間の経過によって壊れますが、種類によっては24時間から72時間ほど感染力を保つため、手洗いや消毒が効果的です。

新型コロナウイルス感染者状況

日本国内の感染者数(NHKまとめ)

感染確認 重症 死亡 退院
日本国内 171万5030人
前日比+372人
294人 1万8148人
前日比+27人
168万9692人
うちチャーター機 14人
クルーズ船 712人 0人 13人 659人
合計 171万5742人
前日比+372人
294人 1万8161人
前日比+27人
169万351人

(2021/10/20時点)
※感染者は毎日新しい情報に更新されています。最新情報は以下のサイトでご確認ください。

変異株について

世界各地で今も新たな変異株が確認されています。

変異株は従来株に比べ、以下のように性質が変化している可能性があります。

  • 感染性が増している
  • 重篤度が増している
  • ワクチン効果を弱める

国立感染症研究所では変異の分析を行い、リスクに応じて懸念される変異株(VOC)と注目すべき変異株(VOI)とに分類しており、これらには十分な警戒が必要です。

国内で確認されている変異株には以下の種類があります。

懸念される変異株(VOC)
  • アルファ株(イギリス型)
  • ベータ株(南アフリカ型)
  • ガンマ株(ブラジル型)
  • デルタ株(インド型)
注目すべき変異株(VOI)
  • E484Kがある変異株(起源不明)
  • カッパ株(インド由来)
  • イプシロン株(アメリカ由来)
  • シータ株(フィリピン由来)

※WHOでは、イータ株、イオタ株、ラムダ株、ゼータ株も注目すべき変異株(VOI)と分類しています。

新型コロナウィルスは増殖と流行の過程で変異していき、約2週間に1回ほどのペースで変異しているといわれています。

参考:変異株について:国立感染症研究所

日本で現在承認されているコロナ治療薬

2020年の5月にはレムデシビルがコロナ治療薬として厚生労働省により特例で承認され、続いてデキサメタゾンが2例目としてコロナ治療薬に認められました。

現在日本で承認されているコロナ治療薬を紹介します。

薬剤名 承認日 投与方法 対象
レムデシビル 2020年5月7日 点滴静注 中等症~重症
デキサメタゾン 2020年7月21日 経口・経管・静注 重症
バリシチニブ 2021年4月23日 経口 やや重症より
カシリビマブ
イムデビマブ
2021年7月19日 点滴静注 軽症~中等症
(重症化リスクが高い患者)
ソトロビマブ 2021年9月27日 点滴静注 軽症~中等症
(重症化リスクが高い患者)

※現在軽症の場合大半が自然治癒が考えられ、中等症や重症の場合薬物治療が検討されています。

参考:治療薬、ワクチン、医療機器、検査キットの開発について|厚生労働省

レムデシビル

レムデシビルは元々エボラ出血熱の抗ウイルス薬で、アメリカでも日本でも初のコロナ治療薬として承認されました。承認当初は重症患者のみでしたが、2021年1月に中等症の患者にも投与が承認され、現在では保険適応となっています。

デキサメタゾン

デキサメタゾンは日本で2例目のコロナ治療薬です。抗炎症作用のあるステロイド薬で、経口薬の他軟膏・ローション・クリーム・点眼薬・点鼻薬・点耳薬など多種多様です。コロナ患者の中でも人工呼吸器や酸素投与が必要な重症患者の治療薬として推奨されています。

バリシチニブ

バリシチニブはJAK阻害薬で、元々関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療薬として承認されています。新型コロナウイルスに関しては酸素吸入が必要な肺炎への適応が追加、レムデシビルとの併用が緊急承認されています。

カシリビマブ・イムデビマブ

カシリビマブとイムデビマブを組み合わせ、抗体カクテル療法(ロナプリーブ点滴静注セット)としてコロナ治療薬に承認されました。軽症~中等症向けで、重症化リスクを低減させます。

ソトロビマブ

ソトロビマブは軽症~中等症に使用できる2例目のコロナ治療薬です。重症化リスクの高い患者に対し、現在は入院患者のみですが、今後は外来や往診でも使えるよう検討されています。

世界で現在開発・治験中のコロナ治療薬(飲み薬)

薬剤名・名称 開発・治験中 特徴 状況
モルヌピラビル メルク RNAポリメラーゼ阻害薬 FDAに緊急使用許可申請中
11/4にイギリスが販売を承認
ファビピラビル 富士フイルム富山化学 RNAポリメラーゼ阻害薬 再治験中
S-217622 塩野義製薬 3CLプロテアーゼ阻害薬 9月に最終治験開始・年内供給予定
PF-07321332 ファイザー 3CLプロテアーゼ阻害薬 年内に緊急使用許可申請予定
AT-527 ロシュ・アテア RNAポリメラーゼ阻害薬 再治験中

※2021年10月現在の状況

参考:今だから「治療薬」を考える 飲み薬登場、変わるコロナとの闘い【けいざい百景】

モルヌピラビル

モルヌピラビルは元々インフルエンザの治療薬として開発されました。2021年10月11日にメルク社がFDA(アメリカ食品医薬品局)にモルヌピラビルの緊急使用の許可を申請しました。この申請が通れば世界で初の新型コロナウイルスに対する飲む抗ウイルス薬になることから注目を浴びています。

2021/11/05追記
11/4日にアメリカのメルクがモルヌピラビルの販売をMHRA(イギリス医薬品・医療製品規制庁)が承認しました。これで世界で初めての軽症者~中等症向けのコロナの飲み薬が承認となったのです。今後アメリカや日本で最終治験が進み、12月には許可が出る見通しです。

ファビピラビル

ファビピラビルはアビガンと呼ばれるインフルエンザ治療薬です。日本だけで承認されていましたが、新型コロナウイルスに対して効果が期待できると、世界各国で治験が開始されました。医師の判断で必要になった場合使用可能となっています。現在再治験中。

S-217622

S-217622は日本の塩野義製薬が開発中の経口タイプのコロナ治療薬(抗ウイルス薬)です。2021年7月から臨床試験が開始されており、軽症や無症状の患者に対しての有効性や安全性を評価中。承認されれば自宅療養者や宿泊療養者などに対しても早期治療が期待できます。

PF-07321332

PF-07321332はファイザーが開発中のコロナ治療薬で、経口タイプと静脈注射があります。ウイルスの増殖に必要な酵素の働きを防ぎます。軽症~中等症の患者向けで、塩野義製薬が開発中の治療薬同様、自宅療養者や宿泊療養者に対して早期治療が期待されます。

AT-527

AT-527はアメリカのアテア社とスイスのロシュ社が共同開発している抗ウイルス薬です。治験中でしたが2021年10月19日に、臨床試験で期待通りの有効性が確認できなかったと報告しています。これを受けて年内治験の結果発表だったのが、2022年の後半になる見込みです。

治験終了後の医薬品

イベルメクチン

イベルメクチンは糞線虫症(ふんせんちゅう)や疥癬(かいせん)の治療薬です。イベルメクチンは新型コロナウイルスの治療薬として承認されておりません。

また、興和株式会社が行った臨床試験でもイベルメクチンを使用しても統計的な有意差はなかったと公表しています。

参考サイト:イベルメクチンの第Ⅲ相臨床試験結果

新型コロナウイルス感染症のワクチン

ワクチンは病原体そのものであったり、病原体を構成する物質から作られます。

それらを接種し、体内に抗体が作られることで免疫を得て感染を防ぐ仕組みです。

日本でも接種が開始されているコロナワクチンは、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと呼ばれる種類で、国内外で承認を受けています。

有効性については、ワクチンを受けた人の発症予防効果は約94%と報告されています。

安全性については、重大な副反応として稀にショックやアナフィラキシーの症状が報告されています。

副反応について

日本で接種が進められている新型コロナワクチンですが、接種後に様々な副反応が起こるといわれています。

注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、寒気、下痢、発熱、吐き気や嘔吐等の症状がみられるようです。

ワクチン接種は努力義務であることから必ずしも受ける必要はなく、もし健康被害が生じた場合でも、医療従事者以外は労災保険給付の対象外です。

そのためワクチンを打つのか、薬で予防治療するのか、自分で決めることができます。

またワクチンは誰でも接種できるわけではありません。発熱、重い急性疾患、重度の過敏症、他にも予防接種が不適当な状態の方は接種できません。そのような方には、もしものときの重症化を考えデキサメタゾンなど、自分自身で新型コロナに備える必要があります。

参考:コロナワクチンナビ:厚生労働省

新型コロナウィルスの検査

感染症法に基づき医師が診断上必要と認める場合に、病原体診断としてPCR検査や抗原検査、抗体検査が行われます。

PCR検査はウィルスの遺伝子を、抗原検査はウィルスが持つ特有のタンパク質を検出するため、現在感染しているかどうかの確認ができる検査です。
抗体検査はウィルスに感染して形成される抗体を検出するため、過去に感染していたかどうかの確認、またはワクチン接種後に免疫がついたのかを確認するために用いられます。

PCR検査について

PCRは正式名称を「ポリメラーゼ連鎖反応」(Polymerase Chain Reaction)といいます。

簡潔に説明すると、ウィルスの遺伝子を増幅させて検出する技術です。

PCR検査には、いくつかの種類があります。

・リアルタイムPCR法
・逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法
・DNAシークエンシング法など

PCR検査には限界があり、採取の時に病原体を採れていなかった場合、採取した病原体の量が少な過ぎる場合は、感染していても陰性となることがあります。
そのため感度は約70%といわれており、診断結果を陰性ではなく「検出せず」と表現する検査機関もあります。
結果が出るまでに1~3日を要します。

抗原検査について

ウィルス特有のタンパク質のことを抗原といいます。
免疫反応を引き起こす抗原を、直接検出することで感染の有無を確認するのが抗原検査です。
特別な検査機器を必要とせず15分程度で結果が出ます。
PCR検査と比較すると精度が低く、他の検査と比べ偽陰性や偽陽性になりやすいのですが、速やかな判断を必要とする場合などに有効です。

抗体検査について

抗体というのはウィルス感染もしくはワクチン接種による免疫反応で形成されるタンパク質のことです。
抗体検査は抗体を体内から検出することで、過去に感染歴があるか、ワクチンによって病原体に対する抗体ができているかを確認できます。
体内で抗体が作られるのには時間がかかることから、感染初期等でも陰性となるため、現在感染しているかどうかの判定には適していません。
抗体検査には、抗体が有るか無いかしかわからない簡易的な即日定性検査と、抗体の量が体内にどの程度あるか測定できる定量精密検査があります。
後者は特にワクチン接種後に抗体が本当についているのかを調べるための、確認検査として用いられます。

新型コロナウィルスの症状

咳やくしゃみなどの呼吸器症状、発熱、頭痛、倦怠感がみられる場合には、新型コロナウィルス感染の初期症状の疑いがあります。医療機関を受診しましょう。
WHOの報告では潜伏期間は1~14日間ほど、感染して症状が現れるまで平均5~6日とされています。

よくある典型的な症状
  • 発熱
  • 倦怠感
人によって頻度の違う症状
  • 結膜炎
  • 頭痛
  • 鼻水
  • のどの痛み
  • 息切れ
  • 筋肉痛や関節痛
  • 味覚異常や嗅覚異常
  • 下痢や嘔吐
  • 皮膚の発疹や変色

新型コロナウィルスは1週間ほど風邪のような症状が続き、8割程度の方はそのまま治癒します。
しかし残りの2割程度の方は発症後7~10日目にかけ、症状が悪化していくという傾向が多いようです。

重症化

重篤な症状が出た場合は、かかりつけの医師や医療機関へ事前に連絡をとり、直ちに治療を受けましょう。

重篤な症状
  • 胸の痛みや圧迫感
  • 呼吸困難
  • 言語障害
  • 運動機能の喪失

特に感染後1週間経過したあたりから重症化しはじめ、徐々に咳や痰や呼吸困難などの、肺炎の症状が悪化して入院に至ります。
感染して治癒せず10日以上経過すると、集中治療室(ICU)への入室や、人工呼吸器が必要な状態にまで陥る方もいます。
基礎疾患のある方や重症化リスクのある高齢者はもちろん、軽症や中等症と診断された場合でも、急速に病状が悪化する可能性があるため注意警戒が必要です。

無症状病原体保有者

無症状・無症候と呼ばれる感染者は、全体の10~30%を状況によって推移しており、自覚することが難しいことから無意識のうちに感染を広げていると考えられています。
また、仮に無症状の陽性であっても、2人に1人は何かしらの症状が現れてきて有症状に移行していく、という最新の論文による報告もあります。
無症状もしくは症状が軽度であっても安静にしましょう。また他に疾病がないのであれば自宅療養が必要です。

新型コロナウィルスについてのまとめ

新型コロナウィルスの感染による症状や、感染による後遺症を防ぐためには、感染しないことこそ最も確実な回避方法です。
また、感染後も適切に対応することで、重症化や感染拡大を抑える意識を自ら持つことが大切です。

  • 基本的な感染対策を徹底する

    不要不急の外出を控え、マスク着用と手洗い消毒、3密を避け、感染リスクを下げましょう。

  • ワクチンを接種する

    ワクチンを受けた人の発症予防効果は約94%、接種して感染リスクを下げましょう。

  • 注目のコロナ治療薬をチェックする

    デキサメタゾンなど、いざというときのためにもコロナ治療薬として期待されている医薬品をチェックしておきましょう。

もしかしてコロナに感染したかも?と不安に思った場合は各都道府県が公表している受診・相談センターに相談しましょう。

>>新型コロナウイルスに関する相談・医療の情報や受診・相談センターの連絡先

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