睡眠導入剤を飲み続けるとどうなる?安全に使用するコツを解説!

寝ている女性

日本人の成人のうち、約7.4%が睡眠導入剤を服用しているとされています。

今現在服用しているものの、このまま飲み続けて問題ないのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

睡眠導入剤は、上手に付き合えば不眠症を改善し、快適な睡眠を得ることができる医薬品です。

これから服用を検討している方のためにも、睡眠導入剤を飲み続けてはいけないといわれている理由を詳しく説明します。

睡眠導入剤を飲み続けるとどうなる?

疑問に思っている女性
睡眠導入剤は、正しく服用すれば長期間飲んでも問題ありませんが、症状が改善したにもかかわらず漫然と服用を続けると、以下のリスクが考えられます。

主な睡眠導入剤はベンゾジアゼピン系に属しますが、長期の服用には依存性や副作用の少ない非ベンゾジアゼピン系やメラトニン受容体作動薬の使用がおすすめです。

睡眠導入剤の効果を感じられなくなる

睡眠導入剤を飲み続けると、体が有効成分に慣れて「耐性」ができてしまい、効果を実感できなくなる場合があります。

耐性ができると今までと同じ用量では効かなくなるため、服用量を増やしてしまいたくなります。

しかし自己判断で増やしてしまうと、副作用が強く出るなどのリスクが考えられるため、必ず医師に相談しましょう。

近年使用されている睡眠導入剤は耐性が生じにくいとされているため、別の種類の睡眠薬に変更するのもおすすめです。

睡眠導入剤なしでは眠れなくなる

睡眠導入剤を飲み続けると、睡眠導入剤なしでは眠れなくなってしまうことがあります。

これは主に2種類の依存に分けることができ、精神的依存と身体的依存と呼ばれます。

精神的依存
睡眠導入剤を使用しないと眠れないのではないか、という不安により起こる

身体的依存
急に睡眠導入剤の服用をやめたことで体が違和感を覚え、服用前よりも強い不眠症状が起こる

次の項目でさらに詳しく説明します。

精神的依存

睡眠薬を使用していないことへの不安から再び眠れなくなる状態を、精神的依存といいます。

精神的依存の特徴
  • イライラ
  • 集中力の低下
  • 不眠
  • 不安

これらの症状は、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤を長期で飲み続けた際に起こりやすい症状です。

特に急に服用をやめた場合に起こりやすく、服用前より強い不安やイライラを感じてしまう場合もあるため休薬する際は医師に相談しましょう。

身体的依存

不眠症が改善したからと休薬すると、身体的依存(離脱症状)が生じることがあります。

離脱症状とは、医薬品の服用をやめた際に、体内に医薬品がない状態を異常とみなして引き起こされる症状のことです。

離脱症状の主な例
  • 情緒不安
  • 震え(振戦)
  • 幻覚
  • せん妄

離脱症状は長期にわたり睡眠導入剤を使用していた場合、急に服用をやめると起こることが多い症状です。

睡眠導入剤をやめたい場合はいきなりゼロにするのではなく、医師の相談のもと、少しずつ減らしていきましょう。

認知症のリスクが高まる

睡眠導入剤の中でも、ベンゾジアゼピン系に属する治療薬を飲み続けた場合は、認知症のリスクが高まるといわれています。

フランスでおこなわれた調査によると、平均78歳の住人1000人以上を対象として最長15年にわたり追跡調査した結果、以下の内容が報告されています。

認知症を発症した割合
  • 睡眠導入剤を服用していた高齢者4.8%
  • 睡眠導入剤を服用していなかった高齢者3.2%

服用していた高齢者は、服用していなかった高齢者に比べて1.5倍のリスクがあったとのこと。

しかし最近の研究では、不眠症や睡眠不足そのものが認知症のリスクを高めるという報告がされています。

そのため、睡眠導入剤の影響で認知症のリスクが高まると断定はできません。

参考サイト:高齢者の睡眠薬による健康影響に関するレビュー|日本プライマリ・ケア連合学会誌
     :ベンゾジアゼピンの使用と認知症または認知機能低下のリスク|National Library of Medicine

依存性の低い睡眠導入剤

長期間の服用には、オレキシン受容体拮抗薬や、メラニン受容体作動薬の服用がおすすめです。

オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬は、副作用が依存性が少ないことが特徴の睡眠薬です。

おすすめの睡眠導入剤は以下の通りです。

商品名 デエビゴ ロゼレム ベルソムラ
画像 デエビゴ ロゼレム ベルソムラ
おすすめ 入眠困難でお悩みの方 熟眠障害でお悩みの方 中途覚醒でお悩みの方
種類 オレキシン受容体拮抗薬 メラトニン受容体作動薬 オレキシン受容体拮抗薬
作用時間 4~6時間 1~2時間 6~8時間
価格 28錠/5mg:15,800円
28錠/10mg:17,900円
100錠/8mg:34,600円 100錠/15mg:24,680円
100錠/20mg:29,580円
商品詳細 詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る
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次項から詳しくおすすめの睡眠薬についてご説明いたします。

デエビゴ

デエビゴ 価格
28錠/5mg 15,800円
28錠/10mg 17,900円
主成分 レンボレキサン
効果 睡眠障害緩和
副作用 傾眠、頭痛、めまい、倦怠感、睡眠時麻痺など
飲み方 1日5mgを就寝直前に服用
使用方法 1日2回、1mlを頭皮に塗布
副作用 頭皮の発疹、かゆみなど

オレキシン受容体拮抗薬に属する睡眠導入剤です。

覚醒維持に関与しているオレキシンの受容体の働きを阻害することで、オレキシンの作用を抑制し脳を睡眠状態へ導きます。

ベンゾジアゼピン系のような筋弛緩作用がなく、依存性も低い治療薬です。

同じ作用のベルソムラに比べると、デエビゴの方が効果時間が長く、入眠困難に向いています。

安全に使用でき、自然に近い眠りを得たい方におすすめです。

ロゼレム

ロゼレム 価格
100錠/8mg 34,600円
主成分 ラメルテオン
効果 睡眠障害改善
副作用 めまい、頭痛、発疹、便秘、悪心など
飲み方 1回8mgを就寝直前に経口投与

メラトニン受容体作動薬に属する睡眠導入剤です。

体内のメラトニンというホルモンと同じ働きをし、メラトニン受容体に結びつきます。

メラトニンは体内時計に働きかけ入眠を促すため、服用することで有効成分ラメルテオンが同じ働きをし、自然な眠気を促します。

筋弛緩作用や鎮静作用、離脱症状や依存性がないため、安全に使用できる睡眠導入剤をさがしている方におすすめです。

ベルソムラ

価格
100錠/15mg 24,680円
100錠/20mg 29,580円
主成分 スボレキサント
効果 睡眠障害緩和
副作用 疲労、傾眠、頭痛、めまい、睡眠時麻痺など
飲み方 就寝直前に1回1錠20mgを服用

オレキシン受容体拮抗薬に属する睡眠導入剤です。

覚醒維持に関与しているオレキシンの受容体の働きを阻害することで、オレキシンの作用を抑制し脳を睡眠状態へ導きます。

同じ作用のデエビゴと比べると、ベルソムラの方が効果がマイルドで、夜中に目が覚める中途覚醒に向いています。

中途覚醒で悩んでおり、依存性のある睡眠薬を避けたい方におすすめです。

睡眠導入剤を安全に服用する方法

注意点を指している医師
睡眠導入剤は、正しい服用をおこなうことで安全に使用できる医薬品です。

ここでは安全に服用するためのポイントを紹介していくため、現在睡眠導入剤を服用している方やこれから服用予定の方も、一緒に確認しましょう。

急に服用を中止しない

睡眠導入剤を服用して不眠が改善したからと急に服用を中止すると、離脱症状により服用前よりも不眠の症状が酷くなることや、薬を飲まないことに不安を感じて不眠が再発したりします。

急に服用を中止するのではなく、少しずつ減らしていきましょう。

◇減らし方◇

漸減法(ぜんげんほう)

服用の間隔は変えずに、服用量を少しずつ減らしていきます。

現在10mgを服用しているなら5mgをしばらく服用し、慣れてきたら2.5mgへ減量、しばらく服用してから断薬します。

隔日法(かくじつほう)

服用の回数を少しずつ減らしていきます。

初めは1日おきに服用し、慣れてきたら2日おきに服用するというように、間隔をあけて服用回数を減らします。

置換法(ちかんほう)

別の睡眠導入剤に置き換え、それから服用量を減らしていきます。

作用時間が短い睡眠導入剤は依存性が高くやめにくいとされているため、作用時間が長い睡眠導入剤に置き換え、それから徐々に服用量を減らしていきます。

上記の方法では不安という方は、睡眠サプリメントを併用しながら服用量を減らすのもおすすめです。

用法用量を守る

睡眠導入剤は、用法用量をきちんと守りましょう。

眠れない、またはもっと効果を実感したいからといって服用量や服用回数を増やしてしまうと、副作用や中毒症状が出てしまう恐れがあります。

睡眠導入剤は飲めば確実に効くというわけではなく、服用後の心がけも大切です。

服用後の心がけ
  • 寝る直前には強い光を避け、
     テレビ、ゲーム、パソコンやスマホの画面を見ないようにしましょう。
  • すぐに床に入りましょう。
  • 床にはいっても眠れない場合は、無理せず一旦起き、
     強すぎない照明の別室でリラックスし、再び眠気がきてから床に入りましょう。

併用に注意

睡眠導入剤は併用してはいけない医薬品や、併用に注意が必要な医薬品があります。

服用前に必ず確認しましょう。

睡眠導入剤の効果を増強する併用禁忌、または注意薬
CYP3Aを阻害する薬剤
 └イトラコナゾール
 └クラリスロマイシン
 └フルコナゾール
 └ベラパミル 等

・睡眠導入剤の効果を下げてしまう併用注意薬
 CYP3Aを誘導する薬剤
 └リファンピシン
 └フェニトイン 等

・相互の作用を増強してしまう併用注意薬
 中枢神経抑制剤
 └フェノチアジン誘導体
 └バルビツール酸誘導体等

その他の注意点

その他、睡眠導入剤を服用する際には、以下のふたつに注意してください。

◇飲酒◇
睡眠導入剤とアルコールを同時に摂取すると、脳の神経機能が抑制され、以下の症状があらわれます。

◆呼吸抑制
 └呼吸が浅くなり、最悪の場合呼吸が止まる危険性があります。

◆意識障害
 └意識レベルの低下により朦朧とするため、正確な状況判断ができなくなります。

◆混乱
 └混乱状態や幻覚が発生し、夢遊病の症状があらわれる場合があります。

◆協調運動障害
 └平衡感覚を保つことができず歩行困難になるため、転倒する可能性があります。

◇運転◇
睡眠導入剤は服用後の翌日、長い場合は翌日の午後まで効果が続いている場合があります。

そのため厚生労働省は、ほとんどの睡眠導入剤に、「服用した直後から翌日までの車の運転を控えるように」という表記を義務付けています。

睡眠導入剤を服用した場合は、翌日まで車の運転は控えましょう。

睡眠サプリや睡眠改善薬を試す

睡眠導入剤の服用による依存症や、副作用が気になる方は、睡眠サプリメントや睡眠改善薬もおすすめです。

◇睡眠改善薬◇
一時的な不眠症状を改善する医薬品

◇睡眠サプリメント◇
不眠を改善したい人が補助的に使用する健康食品

どちらも市販されているため、薬局やドラッグストア、Amazonや楽天などでも購入可能です。

睡眠導入剤よりは効果がマイルドですが、その分依存症や副作用も弱いため、気軽に試すことができます。

商品名 ネナイト バレリアンサプリ 睡眠&疲労感ケア ドリエル
画像 ネナイト バレリアンサプリ 睡眠&疲労感ケア ドリエル
種類 睡眠サプリメント 睡眠サプリメント 睡眠改善薬 睡眠改善薬
成分 L-テアニン:200mg バレレン酸:350mg
メリッサエキス末:10mg など
ジフェンヒドラミン塩酸塩:50mg ジフェンヒドラミン塩酸塩:50mg/2錠
メーカー アサヒグループ食品 DHC FANCL エスエス製薬
価格 28粒:498円 60粒:1,127円 120粒:3,240円 12錠:1,900円
ボタン

※外部サイトにより、価格が定期的に変動する場合がございます。

よくある質問

悩んでいる女性と悩みを解決した女性
ここでは睡眠導入剤について、以下の質問と回答をまとめました。

服用の際の参考にしてください。

・睡眠導入剤は1度使用したらやめられない?

・睡眠導入剤は昼間も飲めますか?

・睡眠導入剤を増量して飲んでもいいですか?

・睡眠導入剤を飲んだ後にスマホをいじってもいいですか?

睡眠導入剤は1度使用したらやめられない?

睡眠導入剤を使用したからといって、やめられないわけではありません。

不眠症が改善し、睡眠導入剤の服用が必要なくなればやめることが可能です。

しかし、急にやめると離脱症状によりかえって不眠症状が酷くなる場合があるため、少しずつ服用量を減らしていきましょう。

睡眠導入剤は昼間も飲めますか?

睡眠導入剤は寝る15~30分前に服用し、服用後はすぐに床に入ることで効果を実感できます。

そのため就寝直前のみ使用してください。

昼寝など仮眠の前に服用してしまうと、眠気が取れず仕事に支障が出る可能性があります。

睡眠導入剤を増量してのんでもいいですか?

効果が実感できないからといって、自己判断での増量はやめましょう

定められた以上の用量を服用した場合、呼吸抑制を引き起こし、最悪死に至る可能性があります。

その他記憶障害や意識障害が強く出る可能性もあり、危険です。

増量する際は、必ず医師に相談しましょう。

睡眠導入剤を飲んだ後にスマホをいじってもいいですか?

睡眠導入剤を飲んだ後に、スマホをいじるのはおすすめできません

睡眠導入剤の効果を実感するためには、就寝の直前に服用することが大切です。

そのため、服用後にスマホをいじったりするとブルーライトの影響で脳が覚醒してしまい、睡眠導入剤の効果を実感できなくなります。

また仮眠前に服用してしまうと、起きてからも睡眠導入剤の効果が残っているため、仕事や予定していたことに対応ができず、支障が出てしまいます。

服用後はすみやかに床に入り、リラックスを心がけましょう。

まとめ

睡眠導入剤は、あまり飲み続けてはいけないといわれていましたが、現在は依存性の低い睡眠導入剤の使用が多いため、それほど心配しなくてもよくなりました。

しかし自己判断で服用量を増やすと必要以上に血中濃度が高まり、呼吸抑制や記憶障害、意識障害などの副作用があらわれる場合があります。

定められた用法用量を守れば安心して使用できるため、不眠症を改善するために上手に利用しましょう。

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