双極性障害について正しい知識を知ることで、仕事を続けたり、社会復帰を行うことは可能です。また、周りの人間が双極性障害を理解することも非常に重要です。
双極性障害とは何か
双極性障害とは気分障害に分類される精神障害の一種で、古くは躁うつ病とも呼ばれていました。
その呼び名から、
うつ病の一種と勘違いされることもありますが、うつ病とは違う病気のため区別して考える必要があります。
従って、両者の病気はそれぞれ治療薬も異なります。
双極性障害は大きく分けて「双極Ⅰ型障害」と「双極Ⅰ型障害」の2種類あります。
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「双極Ⅰ型障害」
…「双極Ⅰ型障害」は、気分が高揚した躁病、または躁病のエピソード(病相)と抑うつのエピソード、そして症状の出ない寛解期が繰り返し循環してあらわれます。
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「双極Ⅰ型障害」
…「双極Ⅱ型障害」は、軽い躁の状態である軽躁病と抑うつ状態があらわれます。
双極Ⅰ型障害の場合、躁病あるいは抑うつ状態から次のエピソードまでの間隔は数ヶ月から数年であるのに対して、双極Ⅱ型障害の場合、一晩で躁転したり1年に4回以上、軽躁病と抑うつ状態が繰り返しあらわれる急速交代型もあります。
最初にうつ病の症状があらわれると、専門家であってもうつ病(単極性うつ病)か双極性障害かを区別することは難しく、最初の診断でうつ病と診断され、抗うつ薬を処方されて症状を悪化させてしまうこともあります。
そのため家族に双極性障害の方がいる場合、最初に受診するときに申告して、正確な診断をしてもらう必要があります。
双極性障害の日本人の有病率は約0.4%~0.7%ほど(約1000人に4人~7人)で、欧米での有病率2~3%とくらべるとやや低いようです。
双極Ⅰ型障害の発症年齢は平均18歳、双極Ⅱ型障害は20代半ばあたりから発症すると言われています。
また、境界性パーソナリティー障害を併発しているケースが目立ち、他に不安障害や薬物乱用を伴うこともあります。
双極性障害であらわれる主な症状
双極性障害であらわれる躁病は、開放的で明るく陽気で多弁な一面もあれば、イライラしたり怒りっぽくなることもあります。
抑うつ状態はうつ病の症状と一致する部分が多く見られます。
躁病のサイン
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気分が度を越えて高揚し、開放的でエネルギッシュになり、いつもとは明らかに異なる様子が1週間以上持続的にあらわれる
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万能感にみたされて、根拠のない自信に満ち溢れた状態になる
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他者に対して高圧的な態度になったり、無謀な計画を立てたり無理な行動をすることで周囲の人に大きな迷惑をかける
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異常に浪費したり、性的に奔放になって逸脱した行為が目立つようになる
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注意力が散漫になり、ひとつのことに集中できなくなる
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一日中しゃべったり、いろいろな人に電話をかけまくる
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眠らずにずっと活動しているにもかかわらず元気なまま過ごしている
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初対面の人にもやたらと話しかける
抑うつのサイン
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気分が落ち込んだり悲しんだり、抑うつな気分が続き塞ぎ込みがちになる
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食欲が減り、体重が著しく減少する
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興味や喜びが失せて、何をしても楽しむ様子がない
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疲れやすく倦怠感が強く出て、何をするにも億劫に感じられる
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不眠状態が続き、途中で何度も目を覚ましたり、逆に過眠状態に陥ったりする
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自責の念が強くなったり、自分は価値のない人間だとという無価値感を抱くようになる
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思考力や集中力が低下して、同じ考えが堂々巡りしてなかなか決断できなくなる
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自殺願望が出てくる
躁状態の場合、周囲の目からは明らかに異常にうつりますが、本人はその自覚がありません。
そのため、自ら病院へ行こうとする人は少なく、周囲の人に促されたり連れられて医師の受診を受ける場合が多いようです。
しかし、軽い躁の状態の軽躁病の場合は、周囲の目からも明らかな異常とはうつらない場合があり、自分も周囲も気付かずに軽躁病エピソードの期間を経て抑うつ状態を迎えることになります。
双極性障害でも仕事は続けられる?
上記のような躁病、抑うつ状態の症状があらわれて双極性障害と診断されると、このまままともに社会生活を営めるのか、仕事をずっと続けられるのか不安や心配でいっぱいになってしまいます。
しかし、気分安定薬を使用した薬物療法を自己判断で途中で止めたりせずに適切に服用する(双極性障害では原則として抗うつ薬は使用しません)、あるいはカウンセリングなどの精神療法を定期的に行って治療を続けながら仕事をしている人はたくさんいます。
また、一度休職してもリワークプログラム(復職支援プログラム)などでリハビリをし、社会復帰、職場復帰する人も多くいるため、病気になったからといってもう仕事が続けられないということはありません。
治療を中断することで症状が悪化し、再び仕事を続けることが困難になってしまうこともあるため、仕事をしながらも必ず服薬は続け、定期的に主治医の診断を受けて治療し続けることが大切になります。
双極性障害でも仕事を続けるためのポイント
それでは、今まで通り仕事を続けたりこれから社会復帰するに当たってどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。
自分のペースで余裕を持ったスタイルで働く
職場復帰、社会復帰する場合、以前と同じ勤務スタイルで働くことが難しかったら時短勤務やフレックス制が適用できるかどうか会社に相談してみましょう。
躁状態や抑うつ状態にある時は、注意力が散漫になったり集中力が続かないことが多いため、どうしても長時間の労働が難しい場合が増えてきます。
そういう時は、決して無理せず上司や会社に相談して柔軟な体制で勤務できないかお願いすることも必要です。
無理をすれば症状が悪化してしまい、せっかく社会復帰しても仕事を続けることが難しくなってしまいます。
また、疲れてきたら無理をせずに休憩をとる、重大な決断は控えて上司などに相談して判断を仰ぐ、仕事を早めに切り上げて無理して仕事を終わらせるようなことはしないなど、自分のペースで余裕を持って働ける環境を作っていきましょう。
残業はしない
仕事に追われてくるとどうしても残業しなければならない時もあるため、少々極端に感じられるかもしれません。
しかし、残業すると早く仕事を終わらせないとという焦りの気持ちが強くなり、精神状態がどうしても不安定になりがちです。
そうなると、せっかく病気が治っていても再発する可能性が高くなり、以前より悪い状態で仕事を続けることにもなりかねません。
双極性障害は再発することの多い病気ですので、無理をしてストレスをためないことが何よりも大切になります。
最近では、残業をなるべくしないように働き方改革をする会社も増えていますので、新しい会社を選ぶ際には、残業を推奨していない会社かどうか、3交代制など不規則な勤務体制ではないかどうかも選ぶ基準のひとつに取り入れてもいいかもしれません。
周囲の人に病気を理解してもらう
自分がどのような病気にかかっていて、どのような症状があらわれるのかを知ることと同時に、周囲の人たちにも同じように理解してもらうことも、よりよく社会生活を営むためには必要になってきます。
最も身近な家族や友人知人に病気のことをしっかりと話して理解してもらい、職場でも隠さずに病気のことを話し同僚や上司の理解を得ることが大切です。
理解されないまま仕事を続けていれば、無理な仕事を要求されたりミスが続いて仕事を滞らせてしまい信用を失うことにもなります。
仕事がうまくいかないとストレスがたまり、良くなっていた病状も再び悪くなってしまい会社との関係も悪くなってしまいます。
躁の傾向のある時は、このような仕事の仕方であれば効率良く集中してできるとか、うつの傾向の強いときは多めに休憩をとりながら業務内容を細かく区切って行うことで仕事を終わらせることができるなど、具体的に提案してみることで双方にとってより良い関係を保ちながら仕事を続けることが可能になるでしょう。
職場では周囲に理解してもらい、きちんと話せるような関係を築いて相談できる相手を探すことが、病気を持ちながら仕事を続けていく要諦になるといっても過言ではありません。
生活のリズムを整え規則正しい生活を心がける
社会復帰をして仕事にもだんだん慣れてくると、どうしても無理をしてしまうものです。
そうすると、せっかく病状が良くなってきてもストレスや睡眠不足、それにともなう暴飲暴食などをしてしまうと生活が不規則になって、病状も再び悪化してしまいます。
症状が良くなって体の調子が維持できていても、規則正しい生活を守って心身ともに健康な状態のまま保つことが大事になってきます。
睡眠時間や起床時間は一定にし、外食ばかりせずになるべく栄養バランスの良い食事を心がける、休日は普段できない運動をし汗を流してリフレッシュすることも心と体の健康を維持するには必要なことです。
すべて自分ひとりでやろうとするのではなく、家族や周囲の人の協力を得ながら社会生活を続け治療にも専念していきましょう。
双極性障害で仕事をしていて悩んだら
会社の上司や同僚の理解を得て協力してもらいながら仕事をしていても、どうしても解決できない悩みや困ったことが出てくるものです。
そんな時は、専門家の手を借りてケアをしていきましょう。
それぞれの自治体に支援施設があったり、会社の中に相談窓口がある場合もあるので、積極的に利用するようにしましょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは全国に300以上設置されており、社会福祉法人やNPO法人などに委託されています。
ハローワークや行政機関、障害者就労支援センター、就労支援事業所などの福祉施設、医療機関と連携しながら、就労や生活面での相談や支援を行っていますので、積極的に利用してみましょう。
仕事上の悩みや健康面での不安、お金の問題など気になっていることを相談し、専門家のアドバイスを得て悩みの解決に役立ててください。
障害者職業生活相談員
5人以上の障害のある方が働いている事業所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって障害者職業生活相談員資格認定講習を受けた有資格者「障害者職業生活相談員」を選任して、相談や指導を行うように義務付けられています。
労働条件や職場の人間関係だけでなく、障害に応じた施設設備の改善など、職業全般に関する相談などに乗ってくれます。
どうしても上司に言えないことや直接会社には要求できないことなど、気軽に相談してなるべくストレスを溜め込まず、症状を悪化させないよう快適な職場環境を整えていきましょう。
産業医・カウンセラー
産業医とは会社において従業員や労働者の健康を管理し、専門的な立場から助言や指導を行う医師を指します。
保健や衛生の専門知識を持ち、労働者の心身の健康の維持や増進を目指した活動を行っているため、病気に関する不安点や治療に対する疑問点など、日頃の悩みなどを相談してみましょう。
また、会社によっては産業保健スタッフと呼ばれるカウンセラーがいるところもあるので、仕事や人間関係の悩みなどの相談に乗ってもらいましょう。
自分の周りに相談できる相手をなるべく多く持つことで、働きやすい環境が整い、ストレスなく仕事を続けることができます。
今回は双極性障害についてご紹介しましたが、この機会に様々なに
精神病ついて確認してみましょう。